不動産小口化商品が「相続対策」にも向いている理由
――クレアス ライフ社では、不動産特定共同事業法を活用した不動産小口化商品を手がけていますが、どのような仕組みなのでしょうか?
大島 不動産を小口化して販売する商品といえば、J-REITを思い浮かべる方が多いと思いますが、不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品は、匿名組合や任意組合などの組織を作り、特定共同事業として不動産の取得や管理を行うスキームです。
わたしたちが手がける不動産小口化商品は任意組合型です。その仕組を簡単に説明すると、まずわたしたち、クレアス ライフ社が開発した新築マンションの所有権を共有持分*1にして分譲します。
投資家の方は共有持分を購入し、自分の名義で登記します。つまり投資家の方は、不動産の所有権をもつことになります。そして投資家の方々で、任意組合*2を組成し、共有持分を現物出資していただきます。
クレアス ライフ社は業務執行組合員*3として参加し、年に1回の決算で、組合利益を投資家の共有口数に応じて支払います。また契約期間満了時には対象マンションを一括売却して、組合財産を共有持分の割合に応じてお支払します。
*1 ひとつの不動産を何人かの人で共同で所有したとき、それぞれの人が持つ所有権の割合のこと
*2 各当事者が出資して共同の事業を営むことを約する合意によって成立する団体
*3 組合を代表して不動産の管理・運営等、一切の業務を行う
――「不動産小口化商品」は、特に相続対策として富裕層に人気だと聞きます。
武藤 不動産の相続税評価額は、不動産の購入価格の4分の1から5分の1になります。このような不動産の特性を活かした相続対策は、広く知られていました。特に東京都心の不動産はインフレに強く、より安定した収益が見込めるという資産性の高さから人気を誇っています。
しかし都心不動産の購入には最低でも数千万円以上必要となり、相続対策として活用できるのは、富裕層のなかでもほんのひと握りの上位層である、超富裕層だけでした。
そこで注目されたのが不動産小口化商品です。購入価格が小さくなるうえ、相続人の人数に応じて小分けにできるので、スムーズな相続が可能です。またマンションであれば一部だけ売却することはできませんが、不動産小口化商品であれば、必要な分だけ現金化することもできます。
資産圧縮効果を活用した相続税対策のほか、遺産分割対策、納税金対策も行えるのが、不動産小口化商品なのです。