不動産投資を成功へと導く「リスクからの逆算」という視点

近年、すっかり身近になった不動産投資だが、一方で失敗の事例も後を絶たない。その原因を突き詰めると、結局は目先の利益ばかりを見て「自分の取れるリスクがどれくらいか」を把握していなかったことにある。本連載では、不動産投資による資産形成のサポートに強みを持つルーフトップリアルティー株式会社代表取締役の若生和之氏に、リスクの許容度から考えるという、本来あるべき不動産投資法について伺った。

不動産投資マーケットは二極化が進んでいる

「意外と底堅いね」。

 

最近、弊社にいらっしゃるお客様から、そんな言葉を聞くことがあります。昨年来の不正建築物件問題、投資用不動産に関連した金融機関の不正融資問題、国内の空き家件数の増加報道……。そのような状況から、一般的には「不動産投資市場には逆風が吹いている」と思われています。経済雑誌などには「不動産バブル崩壊」といったセンセーショナルな見出しが躍ることさえあります。

 

しかし、弊社が扱っている投資用不動産の相場を見ると、意外と落ち着いています。そのため弊社のお客様でも、昨今の市況をむしろ「買い時」と見て積極的に不動産を購入をしたり、あるいは所有物件の売却と合わせて物件の入れ替えをしたりする方は少なくありません。

 

ただし詳細に見れば、以前と比べて物件への選別が厳しくなり、二極化が進んでいることも事実です。つまり、敷地面積が広く資産価値が高い、または築年数が浅いRC物件であるなど、何らかの利点や特徴を持った物件は以前と同様に売買されている一方、立地にも建物にも目立った特徴がない物件は、かなり動きが鈍くなり、価格も大きく下落する傾向にあります。

「自分が取れるリスク」がどれくらいかを明確にする

そのような二極化の状況を踏まえると、今後、不動産投資において重要視されるポイントは、大きく2点あると考えられます。1点目は物件に対する選別眼、いわゆる「目利き力」が、これまで以上に重要になります。そして2点目は以前にも増して「経営的な視点」が必要とされるでしょう。 

 

ルーフトップリアルティー株式会社 若生和之代表取締役
ルーフトップリアルティー株式会社
代表取締役 若生和之氏

「目利き力」は、いつの時代にも通じる不動産投資の基本であり、地域特性、周辺環境、土地、建物をよく調べて、将来に渡って高稼働が見込める有望物件を選び出すことがポイントです。逆にいうと、いわゆる「土地勘」がない、知らないエリアの物件について、築年や賃料、表面利回り、過去の稼働率など、定量的なデータだけで判断をすることは危険だということです。相場が二極化し、将来に渡って価値を保てる物件とそうではない物件の差が大きくなっているからこそ、「目利き力」の重要性が増しているのです。

 

弊社は東京にある会社ですが、北海道、東北、中部、関西、九州など、日本各地の物件を扱っています。それらの地域には弊社のスタッフが何度も足を運び、地元の不動産会社や管理会社、金融機関、士業の方々と密接なコネクションを構築してきました。さらに自分たちの足でも歩き回り、エリアのことを徹底的に調べてきました。だからこそ、弊社では地域特性や周辺環境、将来の街の動向なども含めたうえで、「買ってもよい」と納得できる物件だけを仕入れて、お客様に提供できているのです。

 

もうひとつ「経営的な視点」についてですが、不動産投資は決して買ったら自動的に儲かるようなものではなく、むしろ、買ったあとの経営が重要です。「経営」という観点を持たずに、たとえば売り抜けて利ざやを得ようという視点だけで投資をする方は、往々にして失敗します。もちろん、出口を想定することは大切ですが、賃貸物件としてきちんと経営を続け、価値を維持してこそ、本来あるべき不動産投資の出口なのです。

 

そして、物件を選ぶ際にも、不動産経営を考える際にも、まず自身の投資目的を明確にし、リスクから逆算していく視点が非常に重要です。

 

「投資の目的」とは、たとえば、純投資として多少のリスクを許容しながら高い利回りを目指すのと、相続税対策として資産の最大化を目指すのとでは、狙うべき物件が違ってくるということです。そして「リスクから逆算する」とは、どの程度のリスクであれば受け入れられるのかという許容度を想定しておくことです。

 

地方都市の物件を例に考えてみましょう。

 

地方都市では、満室想定の表面利回りが15%くらいになる物件は珍しくありませんが、満室になっていることはあまりありません。エリアの平均的な入居率が7割だとすれば、表面利回りは10.5%くらいになります。さらに想定よりも空室が増え、入居率が5割まで下がると、表面利回りは7.5%くらいになります。その際のNOI(営業純利益)を、仮に4%としましょう。自身がそれに耐えられるかどうかを判断するのが、リスクから逆算するということです。

 

これは、その方の投資目的、資産状況、金融機関の融資枠などの状況、さらに賃貸不動産の経営経験や能力によっても変わってきます。つまり不動産投資においてリスク許容度は、人それぞれなのです。よく考えれば当たり前の話ですが、この「リスク許容度は、人それぞれ」という点を明確に把握しているか否かが、不動産投資の成否を分ける最大のポイントとなってきます。

不動産業者は成功へと導く「ビジネスパートナー」

これからの不動産投資において「目利き力」や「経営的な視点」、「リスクから逆算していく視点」が重要とはいえ、不動産投資の専業ではない一般の投資家が、これらすべてを持ち合わせるのは非常に難しいことです。そのため、確かな「目利き」の実績を持ち、経営的な視点から不動産投資についてアドバイスしてくれる不動産業者を、ビジネスパートナーとして迎えることをおすすめします。

 

ぜひ、自身の投資目的を明確にしたうえで、さまざまな業者に意見を求めてみてください。信頼できるビジネスパートナーが見つかれば、それは不動産投資の成功に向けた確実な一歩になります。

 

 

ルーフトップリアルティー株式会社 代表取締役

1982年生まれ。宮城県出身。
2005年に1棟収益不動産専門会社に入社。
当時、収益不動産に特化した会社は希少で、数多くの案件に携わりノウハウを蓄積。
その後、同じく収益不動産専門会社役員を経て、2015年ルーフトップリアルティー株式会社設立。
自信も複数の物件を保有する投資家として、同じ目線に立ち、多くの顧客を成功へと導いている。

著者紹介

連載リスク許容度から考える「逆算式」不動産投資法

取材・文/椎原よしき 撮影/有本真大(人物)
※本インタビューは、2019年4月18日に収録したものです。