清潔に保たれたトランクルームの内部

国内不動産投資市場に「頭打ち感」が出てくる中、密かに注目を集めているのが「屋内型トランクルーム投資」である。本連載では、株式会社デベロップ マネージャー・小守美行氏と同社取締役・荒川滋郎氏に、ユーザー目線で見た「屋内型トランクルーム」の利便性と、オーナー目線から見た「土地活用手段」としての導入コスト、利回り、相続対策、市場の将来性などを伺っていく。最終回は、屋内型トランクルームに投資、運営するスキームについて解説する。

トランクルームに向いてる土地、向いてない土地

屋内型トランクルームに投資する場合、大きく分けて次の3つの方法があります。

 

①地主様が所有されている土地にトランクルームを建てる方法(土地の有効活用)

 

②所有されているビルの全体、または一部をトランクルームとしてリノベーションする方法(建物の有効活用)

 

③弊社が開発したトランクルーム(土地+建物)をご購入いただく方法

 

さらに、建設した物件の運営管理については、

 

・管理のみを運営会社に委託する

・マスターリース・サブリース契約を結び、賃料保証を行う

 

という2つの方式に大別されます。

 

株式会社デベロップ 取締役荒川滋郎氏
株式会社デベロップ 取締役
荒川滋郎氏

上記選択肢の組み合わせにおいて、どの方法がベストなのかは、投資家様の所有資産のご状況、投資の目的、タックスプランニングなどともかかわるため、一概には言えません。個別に詳細な検討が必要です。

 

ただし、①や②の場合において、どんな土地・建物でも屋内型トランクルームに利用できるのかというと、実はそうではないことにご注意ください。

 

まず、トランクルームは法律上、「倉庫業を営まない倉庫」に該当しますが、これが建設できる用途地域は第2種中高層住居地域以上となります。1種低層住居専用、2種低層住居専用、1種中高層住居専用、市街化調整区域などには建設できません。

 

また、用途地域があっていたとしても、トランクルーム向いている土地、向いていない土地があります。トランクルームでは、利用者様に興味を持っていただくきっかけは、実際にその建物を見てという場合がほとんどです。つまり建物自体が「広告」の役割もしているのです。

 

そのため、人目に触れにくい裏通りにある土地はトランクルームには向いていません。幹線道路でなくてもいいですが、大通り沿いの人目につく場所が向いています。また、視認性のよい場所であれば、駅からの距離はあまり問題になりません。言い換えると、駅から遠くてアパート建設には向かないような場所であっても、トランクルームなら有効に利用できる可能性があります。

 

すぐに満室になることは、ほとんどないが・・・

トランクルーム投資は、良い面ばかりではありません。前回、アパートに比べて、長期間にわたって安定した利回りを得られる可能性が高いことをご説明しました。しかしその反面、トランクルームは立ち上がり時の入室が比較的遅いという面があります。稼働率が上がるのが遅いのです。

 

新築アパートではふつう、建設後はすぐに入居者が入ります。しかしトランクルームでは、アパートのようにすぐに満室になることは、ほぼありません。物件の立ち上げから、2~3年ほどかけてゆっくりと埋まっていく場合がほとんどです。その代わり、一度入った利用者様が出て行く頻度が少なく、安定稼働が可能です。

 

株式会社デベロップ資産運用コンサルティングマネージャー小守美行氏
株式会社デベロップ
マネージャー
小守美行氏

この特性についてよくご理解いただいく必要があります。その上で、立ち上げ当初のキャッシュフローがどうしても不安である方は、マスターリース・サブリース方式(賃料保証方式)でのご契約を選ばれるとよいでしょう。

 

いずれの方法にしても、物件には適切なサイズ感があります。大きすぎると埋まるのに時間がかかりますし、小さすぎると効率が悪くなります。私たちが通常おすすめしているのは、①の場合で40~100坪程度の広さの土地です。その場合、建設費用は、3千万円~2億円程度となります。

 

一方、弊社で開発した物件の販売の場合は、1~5億円程度の販売価格が主流です。建設資金の融資に関しては、トランクルームへの融資経験のある金融機関は少数派ですが、弊社が用意する資料で説明することにより、アパート、マンションを建てる場合と同様に融資を受けることは可能です。鉄骨造の建物の場合、法定耐用年数は31年です。弊社の実績では、31年のフルローンが下りた事例もあります。

 

一方、当グループでは、開発会社である株式会社デベロップと運営会社である株式会社ストレージ王が共同で事業を運営しています。デベロップはもともと建設会社であり、土地の取得や建設を本業として長く行ってきた実績があります。また、ストレージ王は10年以上にわたって述べ6000戸以上のトランクルームの運営を手がけた実績を有します。

 

いささか手前味噌ですが、このように、土地開発、設計、建設から運営管理まで、トランクルームに関することならすべてを自社で対応できることが、他社にはない弊社の大きな特徴となっています。

 

アパート投資に不安を感じている地主の方、新たな収益源を求めている投資家の方には、ぜひ資産運用手段のひとつとして、屋内型トランクルーム投資に目を向けていただければと思います。

 

取材・文/椎原 芳貴 撮影/永井 浩 
※本インタビューは、2017年12月5日に収録したものです。