アパート投資に不安を持つ投資家が増えている!?
「投資用の収益不動産を持つなら、とくに相続対策の場合には木造アパートが有利」
長らく続いてきたこの図式に変化が生じ始めていることは、収益物件にご関心をお持ちの多くの方がご存知かもしれません。一言で言うと、アパートの供給過剰です。すでに現実となっている人口減少時代において、住居の供給が続けば需給バランスが崩壊し、空室が増えるのは当然のことです。東京などの都市部では人口はまだ増加していますが、それもここ数年のうちには減少に転じる見込みです(2020年からと言われています)。
また、過剰なアパート建設の背景には、金融機関の「アパートローン」の存在がありましたが、これに対して昨年来金融庁が警鐘を鳴らしており、規制の方向に動き出しています。
そういった状況を考え合わせ、今まではともかく、今後は相続対策あるいは収益目的でのアパート、マンション投資は厳しいものになると、多くの方が感じていらっしゃいます。
アパート投資へのリスクを感じる投資家が増えている中、一部の投資家から注目を浴びはじめているのが、「屋内型トランクルーム」への投資です。
まだあまり知られていませんが、屋内型トランクルームは、アパートなどと同様に貸家(土地は貸家建付地)とすることができますので相続対策にもなります(法定耐用年数は31年)。その一方で、アパートなどと比べて「長期間にわたって安定した利回り、キャッシュフローを得られる可能性が高い」というメリットがあります。このような特徴を持つため、トランクルーム投資が注目を集めはじめているのです。
ところで、「トランクルーム」と聞くと郊外の国道沿いの空き地に置かれている殺風景な「コンテナ」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかしここでご紹介する「屋内型トランクルーム」は、それとはまったく別物と言ってよいストレージ(収納)物件です。
この屋内型トランクルームについて、おそらく多くの皆様が具体的なイメージを持てないと思いますが、それも当然です。なぜなら、我が国では屋内型トランクルーム市場は、まだ立ち上がったばかりであり、普及率が非常に低いからです。
市場を成長させる「ライフスタイルの変化」とは?
ここで日本でのトランクルーム全体の市場規模を確認しておくと、普及率は約50万室・約650億円と推測されています(2016年、矢野経済研究所調べ)。
一方、トランクルーム先進国の米国では、約1700万室・2兆9,000円と、日本とは比べものにならない規模の普及率と市場規模で、トランクルーム専門のREITも存在し、活発な投資が行われています。もちろん、文化が違うので単純には比較できませんが、今後、日本の市場も米国と同じような成長曲線を描いていくことは、十分に予測されます。
[図表1]アメリカのトランクルーム市場の規模
[図表2]日本のトランクルーム市場の規模
これは単なる希望的観測ではなく、背景には「家事アウトソーシング」の大きな流れがあります。
これまで、家の中のことは自分たちだけで処理するといのが、日本のご家庭の標準的な考え方でした。しかし昨今では、とくに都市部の中流以上の所得のご家庭においては、その意識が大きく変わってきています。それを明確に示しているのが、掃除や宅配食などの「家事アウトソーシングサービス業界」の大きな成長です。
こういった現状から“クローゼットの延長”である屋内型トランクルームが、家事アウトソーシングサービスの一種として、この大きな流れの中で、市場の成長(世帯普及率の急増)が見込まれているのです。
さらに注目したいのが”ライフステージ”の変化です。現在、マンションの収納スペースが狭くなり、部屋が荷物部屋になっているケースも少なくありません。家族が増えて部屋数が足りなくなれば、広いマンションに買い換えという選択肢もありますが、中古マンションが高く売れるという前提がないと買い換えは難しい現状です。こうした環境下、同じ家に住みながら、子どもの成長などライフステージの変化を吸収するにはトランクルームの利用が解決策となり得ます。
つまり冒頭で触れた人口減少時代の中であっても、現状の普及率とライフスタイル、ライフステージの変化を勘案の上、これから成長する市場、それが屋内型トランクルーム市場であり、その点が、アパート、マンション投資との大きな違いとなるのです。