前回は、不動産投資を始めた時点で「法人化」を検討すべき理由を紹介しました。今回は、不動産業者が銀行融資を「個人」で受けるように勧める理由を見ていきます。

「特定の銀行でないと借りられない」というのは嘘!?

法人になると、個人にしか融資しない特定の銀行が使えなくなります。それをデメリットと感じる方もいるかもしれません。しかし、あえて特定の銀行を無理に使わなくていいのではないかというのが私の持論です。ある程度、年収が高い人というのが条件にはなりますが、メガバンクから地方銀行まで数え切れないぐらいの銀行が使えますので、特定の銀行にこだわる必要はありません。

 

とある銀行から融資を受けているオーナーは、「そうなのですか? この銀行でないと借りられないと言われました」と驚かれます。これも業者の嘘の一つでしょう。特定の銀行だからオーバーローンやフルローンができて、その他の銀行では頭金1割を出さないといけないというのは思い込みです。

 

融資スピードの速い銀行であっても、原則は頭金1割プラス諸費用が絶対に必要です。買いたい投資家にとっては大きなチャンスですが、そうやって融資がついてしまったばかりに、本来なら買うべき物件でない物件を個人で購入してしまった話もよく聞きます。

個人のほうが審査のスピードが速く、「買わせやすい」

法人は一般的には、例えば3期黒字申告して初めてお金が借りられるというイメージを持たれていますが、それは実際には関係ありません。

 

結局、個人の資産管理会社というところの位置付けなので、銀行も個人で買うよりも法人で買った方が税金が安いとか、そのあたりの事情はわかっているので、個人の信用でお金を貸すわけです。

 

だから、別に不動産で実績をつくらなくても、最初から法人で買うことはできます。そこはもう、個人と一緒です。その銀行によって、法人名義がOKかどうかというのはありますが。

 

法人と個人で審査が違うかというと、ほとんどの銀行は何も変わりません。審査自体が個人の年収とか属性を見るので、単に名義が個人名なのか法人名なのかだけです。ただ前回お話ししたように、銀行は個人のパッケージ商品でやるケースが多いので、やはり法人はかなり敷居が高くなってしまいます。

 

これが知られていないのは、特定の銀行でやりたい業者が多いからではないかと思います。この銀行の特徴は、個人に対して審査スピードが速いことが利点です。

 

販売する側からすれば、審査結果が速い方が買える可能性が高いですから、都合がいいのです。あえてそういう話もしないのではないでしょうか。「いきなり法人は無理ですよ。まずは個人で買いましょう。法人で融資が組めるのは特定の銀行しかないです」という流れで、個人契約するのが一番彼らにとっては楽だからです。

 

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    本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『不動産投資の嘘』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    不動産投資の嘘

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    大村 昌慶

    幻冬舎メディアコンサルティング

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