これから不動産投資を行おうと思っている人、実際に投資を行っている人の多くは、本やセミナーから多くの情報を得ます。しかし、その情報は本当に正しいのでしょうか。実は不動産業界には、まことしやかに語られる “嘘”が蔓延しているのです。本連載では、不動産の「法人化」に関連した嘘を紹介します。

法人化は「5棟10室」になってから・・・これは嘘!?

不動産投資の事業規模として、目安になる規模が「5棟10室」です。これは個人の確定申告で青色申告を行う際の基準となっています。この規模になれば、「事業として認められる」ということで、これをきっかけに法人設立を検討されるサラリーマン投資家も多いようです。

 

法人になるタイミングですが、私は、最初の1棟目購入の時点から法人化するのがいいと考えます。属性と金融機関の関係で、法人名義で使える銀行がある場合に限ります。

 

私自身も個人で物件を買ったことはありません。私は28歳から買っていますが、最初から法人名義です。最初から法人で買うのには理由があります。まず個人の場合だと、譲渡時の税率が短期と長期で変わってきますが、法人であればそれが関係ありません。

 

また、個人の場合だと今の収入に家賃収入がオンされてしまうので、累進課税で個人の所得税がどんどん上がっていきます。個人の場合ですと、そこでの節税方法がほとんどないのです。生命保険の所得税控除も最高で4万円です。だから100万円の生命保険に入っていたとしても、控除できる額はそれ以上増えないのです。

 

それに比べて、法人の場合は、さまざまな節税の仕方があります。年収が高く、ある程度買い進みたい人であれば、最初から法人で購入するのをお薦めします。むしろ個人で買う必要性はないように感じます。

法人でも融資の審査は個人の場合と変わらない

ただ、自分の属性や年収や残債によって、使える銀行が決まってきます。さらにその使える銀行の中で、「法人名義でもいいですよ」という銀行となると、また限られてきます。法人で融資を受けるのは、たしかにハードルが高い部分がありますが、審査に限って言えば、法人名義で可能な銀行であれば、基本的には審査は個人と一緒です。

 

ただ銀行によっては、個人の場合はパッケージ商品が用意されていて、築古物件など本来は借りにくい物件にも融資を出しています。一方で法人の場合は、パッケージローンではなくて、プロパーローン(案件ごとのオーダーメイド)になってしまいますので、この銀行の場合はハードルは上がります。

 

業者の言う通りに買ってしまったケースでいえば、いわゆる地銀のパッケージローンを個人で使い切ってしまうと買い進めるのが難しくなります。持っている資産にもよりますが、こうなってしまえば法人として買うこともできなくなってしまう場合があります。

 

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本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『不動産投資の嘘』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

不動産投資の嘘

不動産投資の嘘

大村 昌慶

幻冬舎メディアコンサルティング

融資のこと、業者のこと、出口戦略のこと…不動産投資において知っておくべき情報は数多く存在する。 これから投資を行おうと思っている人、実際に投資を行っている人の多くは、本やセミナーから多くの情報を得る。しかし、そ…

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