今回は、税理士とのコミュニケーションを深める重要性を見ていきます。※本連載では、税理士法人鳥山会計代表・鳥山昌則氏の著書、『マル秘・実録 税務署との交渉術』(現代書林)の中から一部を抜粋し、節税・相続対策・不動産投資などに関する、税務署との交渉・対応術を具体例を用いて紹介します。

本来であれば消費税は100%還付となるケースだが…

同族法人との一括借上げ契約で「居住用を問わない」契約は、居住用に限るものではないため、すべて「課税売上」になります。計画的に届けを出せば、消費税は100%還付となります。一旦還付されましたが、2年近く経ってからの調査になりました。

 

税務署の主張は、

①当初、最終の入居者が居住の用に供していること
②実態的にみて非課税売上が70%あること―その結果、70%の還付金を返却するように、とのことでした。

 

鳥山会計と納税者が一丸となり、非課税の条文、通達の規定を示し、反論したところ、国税局は6カ月以上経て、消費税は所得税、法人税と異なり契約書等の形式(文書)課税であると認める審理を行いました。

 

ただし、このケースの場合、建築管理会社とオーナーの契約書が同族法人とオーナーとの一括借り上げ契約以前に存在し、これが居住用と限定されていて未だに有効と判定されました。そのため残念ながら還付金の50%を返却することになりました。

 

この場合、返却税額に10%の過少申告加算税と年4%くらいの延滞税を課されることとなります。大変心苦しい限りです。当事務所がすべて把握していないと、最良の結果が得られません。

原因はすべての情報が伝えられていなかったこと

今回のケースも、納税者の父親が締結していた大手管理会社との居住用の契約書の存在をよく知らず、当事務所に伝えていなかったことが、消費税還付金の返却をしなくてはいけない原因となってしまいました。

 

このほかにも、似たような原因で返却を余儀なくされた事例は少なくありません。前述のケースの場合は、当事務所にすべての情報が伝えられていなかったことが原因でした。別の税理士や公認会計士に所得税・法人税の申告を依頼していて、コミュニケーション不足が原因となっている場合もあります。

 

当事務所としては、納税者等と十分なコミュニケーションをとり、すべて問題のない申告となることに努めなくてはいけないと固く誓いました。納税者の方も、なるべく所得税・法人税の申告についても鳥山会計に依頼するようにお願いします。

 

この事例における経験を基に、非課税売上を課税売上に変える画期的な方法で、アパート・マンションの消費税還付を実現し、個人相続税対策のおまけに消費税の還付を受けられると、大変喜んでいただいております。

 

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