今回は、税務調査実施の連絡に対応し、先回りで「修正申告書」を提出した事例について見ていきます。※本連載では、税理士法人鳥山会計代表・鳥山昌則氏の著書、『マル秘・実録 税務署との交渉術』(現代書林)の中から一部を抜粋し、節税・相続対策・不動産投資などに関する、税務署との交渉・対応術を具体例を用いて紹介します。

一番大きな「売上計上漏れ」の修正申告を出す

工務店のAさんは10月、某税務署より調査らしい連絡があり、過去3年分の申告資料を点検したところ、多額の売上の計上漏れに気がつきました。不安になりホームページで鳥山会計を検索し、早速、相談にお見えになりました。

 

3年間を検証してみると、前2年間は売上のダブル計上、消費税の一部経費算入忘れ、自動車税の必要経費計上漏れがあり、最終年のみ600万円くらいの売上計上漏れがあることが判明しました。

 

ここでAさんととった方法は、税務署が来る前に修正申告書を自ら提出してしまうというものです。最終年のみ1件の売上計上漏れ約500万円を修正申告しました。

 

この場合の効果としては、
①高額な売上計上漏れは重加算税の対象になりやすく、遡って7年間の調査になる可能性が高い。一番大きな売上計上漏れの修正申告を出すことにより、他の計上漏れを過少申告加算税の対象とし、調査対象期間を3年にできる

 

②加算税の支払いが少なくて済む。結果的には、重加算税約35万円を支払わずに済ませた

―などがあります。

迅速な判断・行動による自発的な修正申告が奏功

【成果】
税務調査には2人の調査官が訪れましたが、前2年間のマイナスは減額修正にしてもらい、最終年のみ追加100万円分の修正申告、過少申告加算税ということで決着し、差引税額はわずかで済みました。

 

修正申告を自発的にするには、1回目の調査までの日数にできるだけゆとりを持たせることが肝心です。また調査官に指摘される問題かどうかを、よく判断しなくてはいけません。十分なコミュニケーションと迅速な判断・行動が肝要です。

 

何はさておき、信頼できる税理士に迅速に相談されることが大切です。

 

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