資産運用 株式投資 債券投資
連載貯金が減り続ける!? 到来する「インフレ時代」とは【第12回】

日本だけが「デフレ」から抜け出せない理由

インフレデフレGDP

日本だけが「デフレ」から抜け出せない理由

前回は、緩やかな「インフレ」が経済に与える好影響について説明しました。今回は、日本だけが「デフレ」から抜け出せない理由を見ていきます。

「実質GDPの成長率」は他の先進国とほぼ変わらない

前回紹介した名目GDPの推移の図を見て、日本はそこまでダメな国になってしまったのかと悲観された人もいるかもしれませんが、私はそうは思いません。

 

確かに停滞してきましたが、それはこれまでの政府が、人々のためになるからと勘違いして、デフレを放置してきたからです。いわば人為的な政策ミスであり、これから取り返せる程度の停滞でしかありません。なぜならば、日本の実質的な国力はまだそれほど衰えていないからです。

 

その証拠に、実質GDPの成長率をOECD先進国と比較したものを見てみましょう。日本は確かに最下位ではありますが、その差はまだそれほどではないといっていいでしょう。

 

[図表]OECD先進国の実質GDPの推移

 

図表にあるように、実質GDPにおいて日本が辛うじて経済成長を続けているのだとしたら、なぜ日本の名目GDPは停滞しているのでしょうか。

 

その理由はデフレにあります。各国の名目GDPの成長率は、実質GDP成長率に消費者物価指数の上昇率を加えたもので、日本以外の主要国では消費者物価指数がプラスを維持しているからです。

 

考えてみれば、当然のことですが、物価が上がれば、名目GDPは上昇するものです。消費者の支払った価格がGDPに反映されるからです。

 

では、日本もデフレを解消して、緩やかなインフレになれば名目GDPも成長するのでしょうか。その通りだと私は考えています。実質GDPが成長している以上、インフレを起こすことで名目GDPも上昇に転じるのです。

デフレの理由は、若者がお金を持っていないから!?

だとするならば、なぜ日本だけがデフレに陥ったのでしょうか。その答えの一つは通貨の供給量にあります。

 

デフレとは、モノの価値が下がって、お金の価値が上がることです。経済学においては、何かの価値が下がるということは需要に比べて供給が多すぎるからであり、何かの価値が上がるということは需要に比べて供給が少ないからだと考えられています。

 

日本で、モノの価値が下がるのは、十分な供給がなされているのに、モノに対する需要が少なくなっているからです。そしてお金の価値が上がっているのは、お金に対する需要が多くなっているのに、お金の供給が増えていないからなのです。

 

モノの供給が十分なのに、需要が少ないというのは「モノが売れない」と騒がれている日本の現状にも合致しています。

 

メディアはよくモノが売れない理由を、「若者のクルマ離れ」とか「ビール離れ」とか「草食化で欲望の薄い若者たち」などと何でも現代人の特性にしたがりますが、それは正しくありません。

 

経済学的に言えば、モノが売れないのは、単に、若者がお金をあまり持っていないからです。お金がないから、需要が伸びないのです。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

杉浦 和也

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長

学習院大学経済学部卒業後、1985年に野村證券投資信託委託入社。日本株式運用、総合企画、秘書室勤務を経て野村アセット・マネジメント・シンガポール、野村ブラックロックで幅広い資産運用ビジネスを経験。その後、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズのディレクターを経て、2002年5月に投資信託本部長としてAIG 投信投資顧問(現 パインブリッジ・インベストメンツ)入社、その後、常務執行役員投資信託本部長を経て、2011年6月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

前野 達志

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 執行役員 グ ローバル・マルチアセット運用部長

慶應義塾大学商学部卒業後、1987 年に三井生命保険入社。1993年より同社英国投資顧問現地法人に勤務し、ロンドン・シティからグローバルな株式・債券投資を行う。その後、スカンディア生命保険、三井住友海上シティインシュアランス生命保険を経て、2004年にAIG 投信投資顧問入社。その後、執行役員 運用本部長兼グローバル・バランス運用部長を経て、2013 年1 月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員およびCFA 協会認定証券アナリスト。

著者紹介

連載貯金が減り続ける!? 到来する「インフレ時代」とは

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

Special Feature

2016.11

「法人保険」活用バイブル<書籍刊行>

決算対策、相続・事業承継、財産移転・・・企業とオーナー社長のさまざまな課題解決に、絶大な効果を発揮する「法人保険」の活用…

GGO編集部(保険取材班)

[連載]オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル~決算対策編

【第19回】保険のための医的診査 結果が「少し悪い」ほうが社長が喜ぶ理由

GTAC(吉永 秀史)

[連載]法人保険を活用した資産移転の節税スキーム

【第15回】「逆ハーフタックスプラン」活用時の留意点

Seminar information

海外不動産セミナーのご案内

「ニューヨーク不動産」投資の最新事情

~世界の投資家が集まるニューヨークでの不動産投資とは?  現地日系の最大手不動産会社の担当者が語るNY不動産活用術

日時 2016年12月07日(水)
講師 川上恵里子

事業投資セミナーのご案内

いま最もアツい再生可能エネルギー「風力発電」投資を学ぶフェア

~2016年度の買取価格は55円。業界の最新事情と専門会社が取り扱う投資案件の実際

日時 2016年12月07日(水)
講師 近藤陽一

不動産活用セミナーのご案内

償却メリットを狙った「京都の町家」投資の魅力

~建物比率5割超&4年で減価償却も可能!独自の不動産マーケットを形成する京町家だから実現する投資法

日時 2016年12月10日(土)
講師 平野準

The Latest