かわいい娘夫婦のため…「土地の生前贈与」を決断した父

当時30代の山田彰さん・洋子さん夫婦（仮名）。洋子さんはひとりっ子だったこともあり、洋子さんの父である横山弘さん（仮名）は、山田さん夫婦をとてもかわいがっていたそうです。

ある日、山田さん夫婦がそろって洋子さんの実家に帰省した際、マイホームの購入を考えはじめたことを話しました。すると横山さんは、かわいい娘夫婦のために「甲土地を生前贈与したい」と申し出てくれたのです。

甲土地の価格は4,000万円ほど。山田さんご夫婦はとても喜び、どんな一軒家を立てようかと、あれこれ計画を立てはじめました。

しかし結局、一軒家を建てるためのまとまったお金が無かったことと、まだ子供をもうけていないのでそこまでの広さは必要なく、駅近のマンションのほうが便利という結論に落ち着き、計画は見送ったそうです。

「義務じゃないから」…夫婦が犯した“致命的なミス”

「そういえば、例の土地の登記はどうする？」

贈与を受けてからしばらくして、友人から「相続登記が大変だった」という話を聞いた彰さんが、思い出したように洋子さんに問いかけました。

土地の贈与を受けたものの、登記についてはまったく考えていなかった洋子さん。色々と調べてみたところ、贈与登記は「義務ではない」ことが分かりました。

洋子さん「まだお父さんも元気だし、子供は私しかいないから焦ってやる必要ないんじゃない？　お金もかかるみたいだし……登記は義務じゃないから家を建てるとき一緒にやりましょうよ。それに、贈与契約書もちゃんと書いてもらっているし」

彰さんは、友人が「相続登記にすごくお金がかかった」と言っていたことを思い出し、「確かにそうだな」と納得。土地に関する手続きは一切せずにそのまま放置してしまいました。

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