(※写真はイメージです/PIXTA)

親が亡くなり不動産を相続する際、遺言書などで事前に取決めがなされておらず「共有不動産」となった場合、遺された家族間でトラブルになるケースが多いと、司法書士法人永田町事務所の加陽麻里布氏はいいます。具体的なトラブル例や解決策について、詳しくみていきましょう。

ひとつの不動産を複数人が所有…「共有不動産」とは?

「共有不動産」とは、ひとつの不動産を複数人が共有している状態のことを指します。各所有者はこの「共有不動産」となった不動産について「共有持分」を有します。

 

共有持分というのは、複数の人が1つの不動産を共同で所有しているときに、それぞれの人がその不動産について持っている所有権の割合のことです。各共有者は持分に応じて不動産を使用することができます。

 

ただしこれは、たとえば2分の1ずつ共有持分を持っていたとして、“物理的に半分だけ使える”というわけではありません。持分に応じて、全体を使用することができます。

 

「共有不動産」となる2つのケース

では、複数人で不動産を所有するような場面とは具体的にどのような状況なのでしょうか。よくあるのは、大きく分けて下記の2つのケースです。

 

1.夫婦で共同で自宅を取得した場合

2.相続が発生し、同居していない親族が共同で持分を保有する場合

 

2点目については、たとえば相続が発生して1つの不動産を3人で相続したときを考えてみましょう。遺産分割協議前の時点では、各相続人はその不動産に対して3分の1ずつの共有持分をもっていることになります。

 

以下では、相続が発生し兄弟で不動産を相続した場合を例に、詳しくお話していきたいと思います。

共有状態のまま、不動産を放置すると…

A家は、父が単独で不動産を所有していました。このたび、父が亡くなり不動産の相続が発生しました。親は「うちは金持ちじゃないし、遺産は実家だけだからなにもしなくてもいいだろう」と遺言書をのこしていなかったため、法定相続分に従って兄弟はそれぞれ2分の1ずつの割合で不動産を相続しました。

 

この場合、通常であれば相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産は相続人の1人が単独所有し、取得しない側は代償金を受け取ることで調整することが多いです。あるいは、不動産は売却してしまい、法定相続分に応じて現金を分け合うといったことが行われます。

 

しかし、兄弟間がもともと疎遠である場合、共有状態のまま不動産が放置されることも多々あります。

 

そうすると、しばらく経って相続人の1人が「相続した不動産を売りたいな」と考えたとき、共有者となっていた兄と連絡が取れなかったり、もう兄が亡くなってしまっていて(=さらなる相続が発生していて)問題が複雑になっている場合があります。こうなると、不動産を処分することも難しい状況です。

 

このように、共有不動産の放置を続けると共有者が増え続けてしまい、ひとりが完全な所有権を持ちたいと考えても「複雑化して誰も手がつけられない」という悲劇が起こる場合もあるのです。

 

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