親「子どもが全然話を聞いてくれない」⇒教育家「これを意識してみて」【子どもの「聞く力」を伸ばすコツ】

親「子どもが全然話を聞いてくれない」⇒教育家「これを意識してみて」【子どもの「聞く力」を伸ばすコツ】
(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもの「聞く力」を育てるコツ、それは「最後まで聞けた経験」を積ませてあげることです。教育家・小川大介氏の著書『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)より一部抜粋し、見ていきましょう。

<前回記事>ゲームをやめない子に「もう終わりにしなさい!」と叫ぶのが“実は悪手”なワケ【教育家が解説】

子どもが聞いていられる長さや情報量はそう多くない

子どもが成長していくうえで、人の話から学ぶことはものすごく重要です。話を最後まで聞く力が不足しているために、相手の話の途中でいつも自分が話し出したり、聞くのをやめてしまったりでは、得られるものが減ってしまいます。人とのコミュニケーションの観点からも将来的に心配ですね。ぜひお子さんの「聞く力」を、段階的に育てていってあげましょう。

 

ここで「段階的に」と言ったのは、年齢相応の「聞く力」があるからです。たとえば、3歳児に3分間の話を最後まで聞きなさいと言っても、それは無理な話です。10秒、20秒の話でも実はかなりの情報量で、とても子どもの頭には入りきりません。このあたりの子どもの事情を、大人の側はわかっておきたいですね。3歳ならせいぜい5秒くらいです。4歳ぐらいで10秒ひと区切りの話が聞ける程度です。

「聞く力」は「最後まで聞けた経験」を積ませて育てる

「聞く力」を育てるには「最後まで聞けた」という体験を何度も味わわせてあげることが大切です。そのためには、子どもが聞いていられる長さや情報量をふまえたうえで、次のようなポイントを意識しましょう。

 

■ポイント:主語や述語を意識して話す

大人同士の会話は主語を省略しがちですが、子どもからすると、ちんぷんかんぷんです。よくわからない話を聞くのは、大人でも耐えられなくなります。「それ、そこね!」ではなく「そのノート、テーブルの上に置いといて」と、主語や述語をはっきりと言うようにしましょう。

 

■ポイント:わかったことを子どもに話してもらう

たとえばお父さんが料理をしているときに、材料やその分量がわからなくなったとします。そうしたら、お子さんに「牛肉と豚肉を何グラムずつ使えばいいか、お母さんに聞いてきてくれる?」などと頼んでみましょう。そして、聞いてきたことを報告してもらいます。聞く・覚える・報告するという一連の流れを体験できるので、非常に効果的です。

 

また、子どもが話をきちんと聞いてくれたら、「ちゃんと聞いてくれてありがとう」とお礼を言ってあげてください。

 

「最後まで聞く」というのはすごくいいことなんだよ、話を聞いてもらえると人は安心するんだよということを、親がお礼を言うことによって伝えるのです。

「子どもが話を聞かない」のは、本当に子どものせい?

「聞く力」に関連する相談には、「子どもが全然話を聞いてくれない」というものがよくあります。私自身も常に自分に問いかけていることであり、親御さんにもちょっと頭に置いてほしいなと思うのは、「自分の都合で聞かせようとしてないかな?」ということです。

 

特に親子関係においては、「自分の言うことをどうすれば聞かせられるか」という意識に陥りやすいものです。毎日の積み重ねの中で、気がつけばそうなっているのですね。「この子は言っても言っても聞かなくて…」と子どものせいにしたくなるとき、子どもには子どもなりの都合があるという視点を少し持つようにしてみてください。「この子が聞こうと思える伝え方ってどんなものかな?」と思えたときは、意外にすんなり聞いてくれるものです。

 

とはいえ現代生活は忙しいですから、いつもいつも子どもの都合ばかり考えていられませんよね。そんなことができたらお釈迦様もびっくりです(笑)。ですから、親の都合で「いいから言うことを聞いて」「言われた通り動いて」と急かしたくなるときはそれでOKです。

 

そのうえで、今は少し余裕があるなというときには、伝え方を工夫したり、伝えたことを理解できたか尋ねてあげたりしてみましょう。

 

何でも完璧を目指す必要はありません。可能な範囲で少しずつ試していけば大丈夫ですよ。

 

 

小川 大介

教育家・見守る子育て研究所® 所長

 

1973年生まれ。京都大学法学部卒業。学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として活躍後、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾SS-1を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。塾運営を後進に譲った後は、教育家として講演、人材育成、文筆業と多方面で活動している。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。

受験学習はもとより、幼児期からの子どもの能力の伸ばし方や親子関係の築き方に関するアドバイスに定評があり、各メディアで活躍中(連載3本)。自らも「見守る子育て」を実践し、一人息子は電車の時刻表集めやアニメ「おじゃる丸」に熱中しながらも、中学受験で灘、開成、筑駒すべてに合格。

 

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※本連載は、小川大介氏の著書『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て

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小川 大介

KADOKAWA

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