相続・事業承継 事業承継
連載企業を永続させる「事業承継」の進め方【第7回】

なぜ事業承継対策の実施が「経営者の義務」といえるのか?

後継者

なぜ事業承継対策の実施が「経営者の義務」といえるのか?

前回に引き続き、事業承継の対策をしないと、どのようなリスクがあるのかを見ていきます。

経営者の急死で倒産に追い込まれるケースも

●前経営者の急死で経営が混乱する

 

経営にもっとも大きな打撃を与え、会社存続に関わるリスクです。経営者が急死するなどして突然いなくなってしまうと、何の準備もないところから手探りで事業承継が行われることになります。

 

後継者を誰にするかもわからず、「とりあえず」と場つなぎ的な人材が採用されるようなケースでは、社内の求心力が一気に低下し、社外の信用にも傷がつきがちです。

 

特に自らの感覚を大切にして経営判断を行ってきたようなワンマン経営者が突然いなくなれば、指揮系統は大きく混乱し、意思決定もスムーズにいかず、経営が立ち行かなくなります。私も経営者の急死がきっかけで倒産に追い込まれた企業を数々見てきました。

 

このようなリスクに関しては、事業承継の準備をきちんとしておけば、ほとんど完全に回避できます。

従業員の生活を危機にさらす「対策の放棄」

●相続争いが起きる

 

これも親族内承継におけるリスクです。後継者に経営権を掌握させるには、自社株を集中させ、株主総会で重要事項の決議ができるよう、三分の二以上の議決権を与えるのが確実であり、事業用資産もまた後継者に託すのが望ましいですが、それを不満に思う親族がいた場合、争いの引き金になる可能性があります。

 

よくあるのが、相続時に遺留分減殺請求を起こされてしまう場合です。遺留分減殺請求とは、後継者からそれ以外の相続人が遺留分に応じて財産を取り戻そうとする請求です。

 

この請求がなされると、骨肉の争いに発展しやすく、せっかく後継者に集中させた株式も分散し、経営権の掌握が難しくなります。事前の策としては、後継者以外の相続人への配慮を忘れず、あらかじめ自分の意図するところを説明しておき、了承をとっておくことです。

 

事業承継への対策を行わないのは、こういったいくつものリスクを野放しにしていることに他なりません。

 

「忙しくて引き継ぎの準備どころではない」「まだまだ引退のことなど考えられない」という経営者もいるかもしれませんが、あえて厳しい言い方をすれば、それは結局、自分ではなく従業員たちの生活を危機にさらしているということです。

 

それはすなわち、経営者としての義務や責任を放棄した状態でいることに他なりません。だからこそ、経営者はすぐにでも、事業の引き継ぎの対策をはじめるべきなのです。

本連載は、2015年10月25日刊行の書籍『たった半年で次期社長を育てる方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

和田 哲幸

株式会社カメリアプランナー  代表取締役

1975年、岐阜県出身。バブル崩壊後の就職氷河期真っ只中に大学を卒業し、就職浪人の上やっとの思いでベンチャー企業に就職し同企業でフランチャイズ(FC)担当となり、以降FC新規開発営業、スーパーバイザーとして300名以上の個人事業主、中小企業の事業主と交流。業務を通して得た企業の創業や事業計画立案など経験を活かし、2010年、中小企業の創業や企業支援を目的とした株式会社カメリアプランナーを立ち上げ、代表取締役に就任。現在は広告物・販促物を活用した広告宣伝支援や、法人設立や新規事業設立プロジェクト支援などに携わる。現在は8種類の業種の異なる法人・団体の取締役や幹部を務める。

著者紹介

連載企業を永続させる「事業承継」の進め方

たった半年で次期社長を育てる方法

たった半年で次期社長を育てる方法

和田 哲幸

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