(写真はイメージです/PIXTA)

新築マンション価格は10年間で2.3倍になった東京23区は、首都圏のマンション価格上昇の中心地となっています。本稿ではニッセイ基礎研究所の渡邊布味子氏が、需要と供給の両面から、新築マンション市場の動向について解説します。

新築・中古マンション市場における今後の展望

ただし、今の首都圏マンション市場で売れている物件の多くは、立地もグレードも良い高価格帯のマンションである。

 

特に東京23区の一部については、さらに価格上昇が期待できると考えて投資目的で購入する人もおり、価格の上昇率が突出している。

 

一方で、東京都下や首都圏3県では停滞をはじめたエリアも散見される。たまたまその時期に販売された高額な物件が月次の平均価格を引き上げる事象も確認でき、特に首都圏新築マンションの価格については、平均値で見るだけではなく細分化したエリア別に動向を見ていく必要があると考える。

 

直近ではデベロッパーのマンション用地取得額が大きく減少していることから、これから新築マンション供給は一層少なくなることが予想される。

 

デベロッパーは少ない将来の用地在庫で今後数年以上の期間に亘って売上を維持しなければならず、新築マンションの売値を下げられる状況にはない。今後も新築マンションの発売価格は高値水準での推移が続くだろう。

 

なお、日銀の金融緩和の方針については注意が必要である。金融緩和政策が変更されて長短金利が引き上げられると、住宅ローン金利も引きあがるため、新規にマンションを購入したい人の借入可能額の減少を通じて住宅価格が下落する可能性がある。

 

また、資産防衛の観点からは、新築マンションは住み始めた瞬間から中古マンションになることは忘れてはならない。中古マンション市場では、価格の高まりから新築と競争できるようなマンション以外は価格を引き下げない限り売れ残る可能性が高まっている2

 

これから新築マンションを購入する人は、実際に長く住むのであればあまり問題はないものの、近い将来に住み替え予定であるとか、投資として購入するのであれば、購入予定のマンションが中古マンションとなった際の価値については保守的に考えた方が良いと思われる。


2 渡邊布味子『首都圏中古マンション市場の動向(2023年5月)~成約価格上昇も在庫は過去最高水準、売却時は価格の減額を視野に』(ニッセイ基礎研究所、研究員の眼、2022年06月30日)

 

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年7月28日に公開したレポートを転載したものです。

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