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連載タイで円滑にビジネスを進めるためのヒント【第5回】

タイへのビジネス進出にはどんな形態があるのか?

タイ外国人事業法

タイへのビジネス進出にはどんな形態があるのか?

今回は、タイにビジネス進出する際の各種形態について説明します。※本連載は、雑誌やウェブなど幅広い媒体で執筆活動をしているタイ・東南アジア専門ライター・梅本昌男氏の著書、『タイとビジネスをするための鉄則55』(アルク)の中から一部を抜粋し、東南アジア随一の工業国タイの地で、円滑にビジネスを行うために欠かせない知識やヒントを紹介します。

タイ資本との合弁しか日本企業進出の手段はない!?

Q.タイに進出するための基礎知識を教えてください。

 

A.タイで収益をあげない駐在員事務所のような形か、収益をあげる現地法人の形態かで、設立の条件やプロセスが変わります。また後者の場合、独資(単独資本)か合弁かによる違いもあります。

 

タイへの進出の形態には複数の選択肢があります。サービス業の場合、タイのForeign Business Act(FBA)=外国人事業法で規制されている業種に関しては、一部の例外を除き、タイ資本との合弁しか進出の手段はありません。

 

しかも、外資の出資比率は49%以下とする必要があります。外国資本の参入が可能な事業を独資で立ち上げる場合、各種恩典(優遇措置)を得るため、BOI(Board of Investment=タイ投資委員会)またはIEAT(Industrial Estate Authority of Thailand=タイ工業団地公社)の認可を得るのが一般的です。

 

●進出形態の種類

 

まず、日本企業(外国企業)のタイへの進出形態を説明します。

【①外国法人】
◇駐在員事務所
日本本社のためにタイで物品・サービスの調達先を探すなど、本格的なタイでのビジネスに向けて準備するのが主たる業務です。営利事業は行えません。開設には商務省から事業ライセンス(Business License)を取得する必要があります。申請からライセンス取得まで、通常は最低でも60営業日(約3カ月)はかかります。

 

◇国際地域統括本部(International Head Quarter=IHQ)
タイとそれ以外の国の支部・関連会社に向け、事業計画立案・財務・研究開発などを行う本部です。地域事業本部(Regional Operating Headquarter=ROH)を2015年の新投資奨励策で名称変更し、規則緩和したものです。以前はタイ以外に3カ国以上の支部が必要でしたが、現在は1カ国でOK。適用事業の範囲も広がりました。BOIや歳入局の恩典対象。BOIと各関係官庁に申請を行います。

 

◇支店
金融、証券などの限定された業種にしか認められていません。

 

◇期限付き支店(Project office)
大規模な公共事業など、一定期間のみ事業を行うときに開設される支店です。

 

【②現地法人】
 以下の4つに分かれます。

◇非公開株式会社(各出資者による有限責任の会社)

◇公開株式会社(タイ証券取引場=TSE上場会社)

◇普通パートナーシップ(合名会社)

◇有限パートナーシップ(合資会社)

 

このうち、日本からの投資形態として一般的に選ばれているのは非公開株式会社です。会社登記に至るまでの審査をパスすることは、比較的容易です。申請書類に不備がない場合、1カ月〜1カ月半で登記が完了します。進出形態の選択は、各企業がタイでどんなビジネスを行うかで変わります。どの形態が合っているかは、JETROや中小企業基盤整備機構などの専門家に相談して決めるのがベストでしょう。

「外資が認可された例」がほとんどない13業種

●外国資本の参入が規制されている業種

 

タイでは外国人事業法で規制された業種(FBA)をリスト1からリスト3までに分類しています。外資が参入できない業種のリスト1にはメディアや農業、漁業など「特別な理由から外国人の営業を禁止する事業」9業種が指定されています。

 

商務大臣の認可が得られれば参入可能とされているリスト2には、①「国家の安全保障にかかわる」銃火器や武器・軍用車や飛行機の製造・販売、②「伝統芸術や文化に影響を与える事業」であるタイ美術の骨董品の取引、タイ楽器の製作、③「天然資源・環境に影響を及ぼす事業」の塩田からの製塩業、さとうきびからの製糖業など、13業種が指定されています。このリストの業種は、実際に外資が認可された例がほとんどありません。

 

リスト3は「外国人との競争力がまだ十分ではない事業」の21業種であり、外国人事業委員会の承認に基づき、商務省事業開発局長の認可が下りれば進出可能とされています。精米および米・穀物の製粉、水産物の養殖、会計サービス、法律サービス、広告業、観光ガイド業などがこのリストに含まれます。

 

これらの業種に該当する事業を行いたい場合は、タイ企業との合弁で、日本側出資比率が49%以下になります。その際、タイ側の51%以上の株式の一部を日系の銀行や投資会社が保持すれば、経営権をタイ側に握られずに済みます。

本連載は、2016年6月23日刊行の書籍『タイとビジネスをするための鉄則55』から抜粋したものです。その後の社会情勢等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

梅本 昌男

ライター

ライター、1963年生まれ。1993年にワーキングホリデー制度を利用してカナダへ。現地の邦字紙記者、ベルリッツの日本語教師を経て、フリーライターに。カナダに9年滞在の後、2001年よりタイのバンコクへ拠点を移す。現在、タイと東南アジア諸国に関する記事をJAL機内誌『アゴラ』ほか日本の媒体に寄稿している。

著者紹介

連載タイで円滑にビジネスを進めるためのヒント

タイとビジネスをするための鉄則55

タイとビジネスをするための鉄則55

梅本 昌男

アルク

積極的な外資誘致で、自動車などの産業集積が進み、東南アジア随一の工業国になってきたタイ。 東南アジアのほぼ中央に位置するため、この地域の統括拠点を置く企業も珍しくありません。日本企業の進出も多く、在住日本人数は…

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