今回は、タイ国内で「合弁パートナー」とビジネスを進める上での注意点を説明します。※本連載は、雑誌やウェブなど幅広い媒体で執筆活動をしているタイ・東南アジア専門ライター・梅本昌男氏の著書、『タイとビジネスをするための鉄則55』(アルク)の中から一部を抜粋し、東南アジア随一の工業国タイの地で、円滑にビジネスを行うために欠かせない知識やヒントを紹介します。

お互いの役割分担を明確にすることも大切

Q.合弁パートナーの探し方と注意点を教えてください。

 

A.合弁には信頼できるパートナーをいかに探すかがカギになります。

 

前々回で述べたような外国人事業法で規制されている業種に参入したい場合、タイ企業の合弁パートナーを見つけて一緒にビジネスを行うことになります。現地でのノウハウやコネ、販売ルートを持っていて信頼できるパートナーを見つけることが、成功を大きく左右します。

 

パートナーは①現地の取引先、②日本のタイ大使館に駐在する工業省の担当官や商務官、③JETROや中小企業基盤整備機構のような政府機関、④BOIのBUILD(産業連携促進ユニット)部門、⑤日本のメガバンク、⑥現地のコンサルティング会社などから紹介を受けます。

 

候補となった会社の登記書類や財務諸表はタイ商務省で手に入ります(利用できるのはタイ語書式のみ)。タイ企業では経営トップの意向が強く反映されます。先方の性格が自分たちの企業にマッチするか、可能なら会食などを通じて判断しましょう。合弁契約締結後もコミュニケーションを密に取り合い続けることが大切です。信頼関係を築いておけば、後述するさまざまなトラブルのいくつかは回避することができるでしょう。

 

タイ側の傾向として、短期の利益を優先する場合が往々にしてあります。経営が黒字に転じたとき、日本側は通常、利益を再投資や将来のためのプール資金に回そうとしますが、タイ側は「そんなものはいらないから、その分をすぐに配当に回すべき」と主張するケースです。

 

お互いの役割分担を明確にすることも大切です。投資、原材料の調達、販売、経営管理、商品開発など、どちらがそれらの責任をもつのかがはっきりしないと、問題が起きたときに対処が遅れるからです。資金ショート時に「日本側が出すべきだ」と主張されることもあります。原材料の調達は日本側が行うか、タイ側に任せきりにしないことです。

日本側が主導権を握れるよう、契約書に盛り込む

日本側が安定供給を第一と考える際に、タイ側は安さを最優先に考える場合もあります。その結果、生産計画が狂えば、元も子もありません。知的財産関係は、有形・無形にかかわらず、タイ側に渡さないことが大事です。そのため、合弁解消時点での自社ブランドの使用禁止項目を契約書に盛り込むなどの手を打つ必要があります。

 

合弁会社の製品にとって、競合となる製品の製造を禁止する項目も必要です。日本側のノウハウを生かして、タイ側が独自に製品を売るパターンもあり得るからです。

 

経営がうまく行かなかった場合のため、合弁解消時の会社解散価値算定基準を契約書に明記しておく必要もあります。これがないと、撤退したいのに、タイ側に押されて赤字経営を続けることになります。「資本金の○%まで損失が食い込んだときは自動的に撤退する」という条項を盛り込んでおくなどの対策が考えられます。

 

独資でも必要になりますが、外国企業は設立に当たり、財務省でVAT(付加価値税)の登録が義務付けられています。設立後、税務申告は毎月行います。税制については次回を参照してください。

 

工場での商品製造後、海外への輸出を行う場合はタイの財務省で通関者登録を行う必要があります。これらの手続きに必要な書類作成は、通常、コンサルティング会社や会計事務所などに依頼します。書類さえそろっていれば、手続きはスムーズに完了します。

本連載は、2016年6月23日刊行の書籍『タイとビジネスをするための鉄則55』から抜粋したものです。その後の社会情勢等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

タイとビジネスをするための 鉄則55

タイとビジネスをするための 鉄則55

梅本 昌男

アルク

積極的な外資誘致で、自動車などの産業集積が進み、東南アジア随一の工業国になってきたタイ。 東南アジアのほぼ中央に位置するため、この地域の統括拠点を置く企業も珍しくありません。日本企業の進出も多く、在住日本人数は…

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