生活保護の制度は、受給者本人以外の人をも救うことがあります。たとえば近年、収入のない子を養ってきた親が高齢になり、家計が苦しくなって、子の生活保護申請をする事例が増えています。本記事では、これまで10,000件以上の生活保護申請サポートを行ってきた特定行政書士の三木ひとみ氏が、著書『わたし生活保護を受けられますか』(ペンコム)から、70代の父親と30代の息子の実例をもとに解説します。
「もう限界です…」“70代の父”が深夜パートで「精神疾患・引きこもりの“30代息子”」を養い力尽きたが…一転、父子ともに救われた「生活保護受給」までの顛末【特定行政書士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

3. 【1人暮らし】どうする?物件探し、引っ越し費用

◆引っ越し先が決まらない!

「これ以上、親に迷惑をかけたくないので家を出ようと思う」と息子さんは物件探しをしました。しかし、病気からくる幻聴もつらくてすぐに仕事ができそうにない状況で、賃貸物件を探しても入居審査に落ちてしまいます。

 

しかも、家族にはお金もなく、引っ越し費用の捻出も難しい状況にありました。

 

そこで、当事務所では、長年お付き合いのある税理士の先生に相談。先生が所有するアパートに、家主さんのご厚意もあり、初期費用なしで息子さんの身一つで入居させてもらえることになりました。

 

■ポイント

 

無収入の子名義での賃貸契約は不可能ではないかという心配もある。これについては、最近は理解ある不動産会社や家主も増えてきている印象。

 

当事務所でも、善意の不動産会社や家主さんから、生活困窮した人に住居を貸しますという連絡が多く入ってくるようになった。

 

ただし、貧困ビジネスには注意。

4. 【申請】申請書の代理作成、代理申請

◆入居日に生活保護申請

当事務所に相談に来られたのはお父さんですが、生活保護申請書は、要保護者である息子さんが自らの意思で納得し申請者となりました。

 

引っ越し先の入居日に合わせて、あらかじめ作成しておいた生活保護申請書を、当事務所の行政書士が、使者として福祉事務所に代理提出して申請する運びとなりました。

 

■ポイント

 

申請日は、できるだけ早いほうがいいので、入居日などが決まった場合はタイムロスなく申請を。

5. 【申請から保護費受け取りまでの間】1週間分の食費として7,000円借りることができた

申請日当日に、息子さんは1日1,000円の計算で1週間分の食費として7,000円を役所で借りることもでき、また布団の持参もなかったのですが、家主さんのご厚意で布団も貸してもらえることになりました。

 

生活保護が決定したら、新品の布団を購入する費用は生活保護費とは別に申請が可能(一時扶助)なので、そのように助言しました。

 

■ポイント

 

生活保護の開始時に、布団などの持ち合わせが全くない場合、一時扶助として、生活保護費とは別に一定額を負担してもらえる。

 

 

三木 ひとみ

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所

特定行政書士