資産運用 株式投資 債券投資
連載投資初心者のための「資産運用」キソ講座【第7回】

日本が抱える巨額の借金に潜む「政府の思惑」とは?

日本国債債券

日本が抱える巨額の借金に潜む「政府の思惑」とは?

前回は、日本は本当に「財政危機」なのか、改めて検証しました。今回は、「日本は財政危機にある」という言葉の裏に隠された政府の狙いを見ていきます。

政府は「増税」するために危機感を煽っている!?

前回の続きです。日本国債の9割以上が日本国内で消化されているということは、どのような意味があるのでしょうか。実は、悪夢のような話ですが、いざとなれば税金を増税することで、日本政府はあっさりと借金の全額を返済できるのです。

 

なぜなら、政府がお金を借りている相手は国民で、また政府は国民に対する徴税権を持っているからです。

 

言い換えれば、日本政府の借金とは税金の前借りのようなものです。そして、政府にお金を貸し付けている(国債を購入している)以上、日本国民はそれ以上の資産を持っていることになります。

 

すでにそれだけのお金が日本にあって、将来、政府が税金としてもらえることが確定しているものを前借りしているだけなのですから、絶対にデフォルト(債務不履行)にはならないというのも当たり前です。

 

日本人の個人金融資産は1600兆円以上といわれていますから、極端な話、日本政府が個人財産をすべて没収すれば、政府債務は完済できるわけです。

 

もちろん、現実には日本政府が個人財産を没収したり、高額の税金を資産に対してかけたりして、借金を帳消しにしようとするような事態は起こらないでしょう。民主主義国家ですから、そんなことをする政権は長続きしませんし、国民の反対も大きいからです。

 

ですから、今、政府は、反対が起きない範囲でゆっくりじわじわと増税をしているわけです。そのために日本は財政危機だという話を一生懸命広めているのです。

日本の借金は1200兆円もないという話も

さらに、借金を実質的に減らしていくもう一つの手段がインフレです。よく考えてみれば、日銀は通貨発行権を持っているのだから、どんどんお金を印刷してお金の価値を下げていけば、借金の価値も下がっていきます。

 

インフレ政策はお金持ちに厳しく、借金持ちに優しいと説明したことを思い出してください。月収20万円の人が20万円の借金を返済するのは大変ですが、インフレによって月収が40万円になれば、過去に借りた20万円を返すのは容易です。さらに、インフレになると名目GDPも増えるので、債務総額の対GDP比も劇的に減っていきます。インフレ政策は日本の財政収支にとってもいいことばかりなのです。

 

これが財務省のいう「自国通貨建て国債のデフォルトはありえない」の正体です。いざとなれば、通貨価値を下げて支払ってしまえばいいだけの話だからです。

 

そもそも日本政府の借金は、実質的には1200兆円もないという話もあります。なぜならば、日本政府は資産も650兆円持っているからです。なにも国民から税金を徴収しなくても、資産をすぐに売り払えば650兆円は返済できるのですから、実質的な借金額は550兆円になります。

 

この債務残高は、GDP比で見た場合にそれほど高いとはいえません。ローンで住宅を購入した人は、ローンの残高だけを見れば何千万円も借金があるように見えますが、いざとなれば住宅を売却して返済できるので、それを借金とは思わないのと同じことです。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

杉浦 和也

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長

学習院大学経済学部卒業後、1985年に野村證券投資信託委託入社。日本株式運用、総合企画、秘書室勤務を経て野村アセット・マネジメント・シンガポール、野村ブラックロックで幅広い資産運用ビジネスを経験。その後、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズのディレクターを経て、2002年5月に投資信託本部長としてAIG 投信投資顧問(現 パインブリッジ・インベストメンツ)入社、その後、常務執行役員投資信託本部長を経て、2011年6月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

前野 達志

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 執行役員 グ ローバル・マルチアセット運用部長

慶應義塾大学商学部卒業後、1987 年に三井生命保険入社。1993年より同社英国投資顧問現地法人に勤務し、ロンドン・シティからグローバルな株式・債券投資を行う。その後、スカンディア生命保険、三井住友海上シティインシュアランス生命保険を経て、2004年にAIG 投信投資顧問入社。その後、執行役員 運用本部長兼グローバル・バランス運用部長を経て、2013 年1 月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員およびCFA 協会認定証券アナリスト。

著者紹介

連載投資初心者のための「資産運用」キソ講座

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

Special Feature

2016.12

「法人保険」活用バイブル<書籍刊行>

決算対策、相続・事業承継、財産移転・・・企業とオーナー社長のさまざまな課題解決に、絶大な効果を発揮する「法人保険」の活用…

GGO編集部(保険取材班)

[連載]オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル~決算対策編

【第19回】保険のための医的診査 結果が「少し悪い」ほうが社長が喜ぶ理由

GTAC(吉永 秀史)

[連載]法人保険を活用した資産移転の節税スキーム

【第15回】「逆ハーフタックスプラン」活用時の留意点

Seminar information

生命保険活用セミナーのご案内

人気書籍の編著者が明かす「相続専用保険」の活用術<ダイジェスト版>

~人気書籍の編著者が明かす「相続専用保険」の活用術<ダイジェスト版>

日時 2016年12月14日(水)
講師 吉永秀史

海外不動産セミナーのご案内

国外財産にかかる相続税・贈与税の最新事情と注目集める「フィリピン永住権」の取得術

~改正議論が進む海外資産税務のポイントと東南アジア屈指の成長国「フィリピン」の最新活用法

日時 2016年12月14日(水)
講師 剱持一雄 鈴木 廣政

生命保険活用セミナーのご案内

人気書籍の編著者が明かす「生命保険」活用の基礎講座

~人気書籍の編著者が明かす「生命保険」活用の基礎講座

日時 2016年12月17日(土)
講師 吉永秀史

The Latest