「必要なお金」だけでは不十分
将来の夢を叶えるためのお金という項目も入れましたが、これも非常に重要なことだと思います。
何の夢も希望もなく、生きていくためだけに蓄財するというのは、あまりにも張り合いがないですし、何のために生きているのかさえわからなくなってしまうからです。
30歳くらいで「貯蓄の目的は老後資金」だけという人がたくさんいますが、せっかくであれば毎日懸命に働いてお金を稼いでいるのですから、老後の心配をするだけでなく、それをある程度、自分の夢や楽しみのために使うことも考えてほしいと思います。老後のことばかり考えて今を生きているのでは、何だか悲しいですよね。
たとえば、筆者自身は世界一周旅行に行くのが夢で、そのためにお金を貯めていました。この夢は、すでに達成しましたが、今後も機会があれば、どんどん海外旅行をしたいといった新たな夢も出てきています。
世界一周などというと、高いお金がかかるものと思われる方も多いかもしれませんが、実は各アライアンスが販売している世界一周航空券というものを使えば、チケット代はそれほどかかりません。安いものでは1年間有効で約36万円です。
ご存じだった方もいるかと思いますが、こうした情報をどれだけ持っているかでお金の使い方も貯める目的も変わります。将来の全体的な資金計画の中で予算と期限を決めて、よりたくさんの情報を集めておくことが重要なのです。
また、現在私には子どもがいませんが、もし子どもが生まれたら、さまざまな経験をさせてあげたいという夢も持っています。
「子どもに多くの金融資産を遺したい」とか、「子どもに最高級の教育を受けさせたい」といった思いは特にないのですが、経験や家族との思い出を財産として遺すためにはお金を惜しみたくないので、そのためにももっと蓄えが必要だと感じています。
お金の不安が多すぎて、自分の夢など二の次、三の次になってしまうかもしれませんが、夢のためにお金を用意しようと考えると、蓄財に対するモチベーションがアップするはずです。そのため、ぜひこの項目も入れておいてください。
状況に合わせて「マネーパズル」を少しずつ埋めていく
自分を取り囲んでいるお金の問題が明確になったら、続いては前回紹介したマネーパズルのマスをどうやって埋めていくかを考えていきます。
適切な運用などによって、これらのパズルのマスをすべて埋めることができれば、その人のお金の不安はほとんど払拭されてしまいます。かといって、必ずしもすべてのマスを絶対に埋めなければならないわけではありません。
たとえば、まだ若くて介護のことまで考えられないなら、とりあえずそのマスは空けておいてもいいでしょう。
どのマスから最初に埋めていくかは、人それぞれの状況や価値観によるので、正解はありません。子どもが小さい人なら「死亡」や「教育」、老後が不安な人は「年金」などのマスを埋める方法から考え始めてください。
なお、下記にはそれぞれの項目について、大体いくらかかるかもまとめました。これは比較的多めに見積もった金額ですが、ここから公的な保障でもらえるお金などを差し引いて、自分で用意すべき金額を大まかに割り出します。