まとまったお金が必要となる局面がたびたび訪れる人生
筆者がお客さまにライフプランについてご説明する際、ベースに置いている考え方があります。それが、「マネーパズル」です。
人生にはまとまったお金が必要な局面がたびたび訪れます。そのため、私たちはなるべく早い段階から、そのお金をどうやって工面するか、しっかり考えておかなければなりません。
ファイナンシャルプランナーなどに相談すると、たいていはいくつかの保険をすすめられ、それに加えて投資信託の積み立てなどによる蓄財を推奨されるでしょう。
それが間違っているわけではありませんが、コストの面などでムダの多いやり方ではあります。一般に売られている保険は、保障内容に対して保険料が高すぎますし、投資信託には元本割れのリスクが付きまとううえに、保有しているだけで毎日手数料を取られるからです。
しかし、世の中には大量の保険に加入したうえに、お金を増やそうとして投資信託や株などに資金を突っ込んでしまう(しかも、勉強もしないまま、雑誌などで推奨されていた銘柄を何も考えずに買ってしまう)人が大勢います。
それでキャッシュが大きく増えるならいいですが、そんな大成功を収める確率は極めて低いことを忘れてはいけません。もっと現実的に蓄財をしていきたければ、別の方法を選択すべきでしょう。
マネーパズルでお金の問題を「見える」ように
それでは、一体どうすればいいのでしょうか? 私はまず、「何のために」「いくら」お金が必要なのかという点を、はっきりさせるべきだと考えます。漠然と「老後が心配」「介護が心配」などと思っているだけではなく、不安の中身を整理するのです。
そこで役に立つのがマネーパズルです。下記図表のように、想定されるパズルのマスは9つあります。マスの一つひとつが、「将来の不安要素になり得るお金」「何らかの対策をしておくべきお金の問題」を表します。パズルで想定している9つの問題を、列挙してみましょう。
[図表1]マネーパズルで将来のために必要なお金を把握する
●自分が死亡したとき、家族に遺すためのお金(死亡)
●医療、特に三大疾病などの高額医療にかかるお金(三大疾病)
●自分や配偶者・両親が要介護状態になったときのためのお金(介護資金)
●趣味や将来の夢を実現するためのお金(趣味や自己実現)
●老後の年金(生活費)を補完するためのお金(老後資金)
●事故や災害にあったときのためのお金(損害補償への備え)
●子どもの教育資金・結婚資金(子どもに関する必要資金)
●相続税や運用益に対する税金に対応するためのお金(税金対策)
●急に必要になったときのためのお金(緊急予備資金)
マネーパズルには、このように9個のマスを並べておくことで、私たちが考えておくべきお金の問題が〝見える化〟するというメリットがあります。
これらを眺めて、「人生にはこんなにもお金が必要な物事が控えている」と考えると、気が遠くなってしまう人もいるかもしれません。しかし、見て見ぬふりができないのがお金の問題です。まずは、マネーパズルで整理して、不安要素を目の当たりにすることが大切なのです。
[図表2]マネーパズルを埋めるために必要な金額の目安