クリニックM&Aが「後継者問題」解決の切り札になる理由

前回は、クリニックM&Aのメリット・デメリットについて説明しました。今回は、クリニックM&Aがなぜ「後継者問題」解決の切り札になるのかを見ていきます。

クリニックM&Aなら親子承継にこだわる必要がない

クリニックのM&Aという選択肢は、後継者問題で壁に突き当たることの多いクリニックに救いの手を差し伸べることになります。

 

クリニック承継では親子間のトラブルが起きがちです。親の側からしてみれば、わが子に継いでほしいという思いがあります。昔は医師も世襲制が多かったですから、親子承継を考えるのは自然なことかもしれません。

 

ただ、親子承継へのこだわりが強すぎると、往々にして親子関係がギクシャクしてしまいます。子を医師にしようと医学部に進むことを無理強いしたり、承継がしやすいよう自分と同じ専門科目を選択するよう勧めたり、地元につなぎ止めるために都会に出ていくのを許さなかったりといった自分の意志通りのレールを敷いてしまいます。

 

進路選択を強制され、自分の人生設計に口出しされた子は、当然のことながら親への反発や不満を抱えることになるでしょう。表面的には自分を曲げて親の意志に従うことがあっても、不満や反発心は心の中でくすぶり続けます。「進みたくもない医学部に入れられた」とか「生きたいように生きさせてもらえなかった」という思いは、やがて表面化して親子の関係を悪くしてしまうものです。

 

肉親同士で遠慮がないゆえに、一度反目が起きるとお互いに傷つけ合うほど対立してしまうことも多く、親子の関係に深い溝を生んで修復不可能になってしまう場合もあります。

 

そういう点で、親子承継にこだわらない第三者へのM&Aは、子どもの意向を尊重することができます。親も子も自分の生き方を決める際の自由度が増すことになるのです。

M&Aを選択することで経営ストレスからも解放される

子どもに確実に財産を引き継がせようと思うと、まず親子承継をしたくなるのは分かりますが、子どもにクリニックを継がせなくても財産は残せます。というのも、「事業の承継」と「財産の承継」は別だからです。

 

クリニックの経営権を第三者に譲ってしまったとしても、創業者利益を失うことにはなりません。M&Aによる利益は退職金などのかたちで回収するなど、今まで築いてきた財産を守る方法はいくつもあります。

 

また、M&Aを選択することで、借入金の保証や担保提供の重圧、クリニックの労務管理などからも解放されます。経営ストレスがなくなれば心身ともに余裕が生まれ、プライベートを充実させることも可能です。

 

筆者の事務所でM&Aをお手伝いしたある開業医は、開業医時代はほとんどなかった家族との対話がM&A後に増えたそうです。家族関係が再構築できたと嬉しそうに話してくれました。

 

M&Aは、開業医自身はもちろん、その周囲にいる人すべてを幸せの方向に導く力があるのです。

本連載は、2015年9月25日刊行の書籍『開業医のためのクリニックM&A 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載開業医のハッピーリタイアを実現する「クリニックM&A」の進め方

岡本雄三税理士事務所 代表
株式会社MARKコンサルタンツ 代表 

岡本雄三税理士事務所代表。株式会社MARKコンサルタンツ代表。税理士、行政書士、宅地建物取引士、M&Aシニアエキスパート、経済産業省認定経営革新等支援機関。1967年生まれ。1991年、早稲田大学商学部卒業。1998年、岡本雄三税理士事務所開設。2000年、公益社団法人日本医業経営コンサルタント登録。個人医院の開業、医療法人の設立、税務など、医業コンサルティング業務のほか、一般法人の税務、事業承継、M&A支援、資産税にかかわるコンサルティング業務を手掛ける。

著者紹介

開業医のためのクリニックM&A

開業医のためのクリニックM&A

岡本 雄三

幻冬舎メディアコンサルティング

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