前回は、各種「法改正」への対処法を説明しました。今回は、戦略的経営の強い味方となり得る「会計パートナー」の選び方について見ていきます。

弁護士とタッグを組むなど、法律面にも強いことが重要

今回は本連載のまとめとして、戦略的経営の強い味方となり得る会計パートナーの選び方について述べさせていただきます。頼れる会計パートナーの条件を私なりに5つ挙げてみました。会計事務所に協力を頼みたい、顧問契約をしたいというとき、参考にしてください。

 

●複数の職業会計人がいること

 

職業会計人1人でやっているより、複数の職業会計人が集まっている会計事務所のほうが安心です。たくさんの目で何重にもチェックして、決算書の精度を高めることができます。また、いろんな人の知恵やアイデアを出し合って、よりよい案を提供してもらえるからです。

 

●弁護士とタッグを組むなど、法律面にも強いこと

 

職業会計人だけでなく弁護士や司法書士など法律家とのつながりを持った会計事務所のほうが安心です。様々な法改正や新法の成立に対応するためにも備えておきたい条件です。

 

●契約書の取り交わしなど、リスク管理が徹底していること

 

アメリカは訴訟大国といわれて久しいですが、日本も今後、権利や補償を巡る訴訟が増えていくことは間違いありません。自らを守るためにも、何かにつけて契約書を交わす習慣が大事になってきます。また、事業で海外展開を図るときには、契約書によるリスク管理が不可欠です。

 

ただし、契約書には厳密なルールがあり、1つでも不備があるとまったく効力を発揮しない場合が多々あります。法的にしっかりとした過不足のない契約書を作り、締結および締結後のフォローまできちんとしてくれる会計事務所を選びましょう。

会計士自身の態度や言動も必ずチェックする

●実のある税務相談に乗れること

 

税務の相談というと税務署を思い浮かべるかもしれませんが、税務署はマニュアルに従った答えしかしてくれません。また、アドバイスを求めるにしても、誰にでも当てはまる一般的なアドバイスしか与えてはくれません。

 

経営上の不安や悩みへの答えや、戦略的な経理のアドバイスなどが欲しいなら、会計事務所を頼るべきです。多くの会社に関わった経験をもつ会計士は、経営上のノウハウを豊富に蓄積しています。実務にもとづく観点から的を射た答えが返ってくるでしょう。

 

●クライアントの状況や戦略を汲み取った実務ができること

 

月1回クライアントのもとに顔を出し、帳簿付けをするだけが自分の仕事と思っている会計士もいます。しかし、それではただの計算マシーンです。優秀な会計ソフトと入力する経理担当者がいれば間に合ってしまうような仕事では、わざわざ報酬を払って会計士を雇う意味がありません。

 

有能で誠実で向上心のある会計士というのは、常にクライアントのことを第一に考え、クライアント会社の利益につながる道を探究しているものです。それは会計士自身の態度や言動に必ず表れます。

 

あなたの話によく耳を傾けてくれるか、会計士の立場からの専門的な意見やアドバイスがあるか、あなた自身やあなたの会社について具体的な質問はあるか(会計士の側から情報を集める姿勢があるか)、あなたが何かを頼む前に自主的・積極的に動いてくれるかなどを見るといいと思います。

本連載は、2015年7月30日刊行の書籍『低成長時代を生き抜く中小企業経営9カ条』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

低成長時代を生き抜く 中小企業経営9カ条

低成長時代を生き抜く 中小企業経営9カ条

真下 和男

幻冬舎メディアコンサルティング

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