前回は、課税が納得できない場合に行う「不服申立て」について説明しました。今回は、税務申告の際の失敗・成功事例を見ていきます。

「個人借入の計上」に関する失敗談・・・

筆者の事務所では、妻が弁護士を務めています。各種の税法上の問題や株主間のトラブル、相続関係の問題など法律に関わる問題解決のワンポイント事務所として、クライアントに期待されていたことは事実ですし、それだけの成果もあげてきました。

 

クライアントではありませんでしたが、あるガソリンスタンドの経営者から相談を受けたことがありました。

 

数店舗のガソリンスタンドを経営する、やや遠隔地の社長が、1店を支店長に任せていたところ、売上減少に伴い資金繰りに困ったとして、支店長の兄から数回に渡り、合計3000万円ほどの借入をしたとして、3期間にまたがって計上し税務署に申告をしたといいます。もちろん、社長はその決算書の申告書にサインと押印をしていました。支店長の兄からの借入金の証書はありませんでした。

 

社長はその借入が架空のものだとして私の事務所に相談をしてきました。裁判所に提訴しましたが、判決では借入が認められました。要旨は、税務署に提出する書類は真正なものであり、記載内容に社長は責任を持たなければならないということです。その意味では、税務署と裁判所とは、根本的には証拠は同一の根拠とみなすものです。

更正の請求が是認された理由とは?

これは税と法律に関わる失敗談ですが、この経験を活かして成功に導いた例を2つ紹介します。

 

1つは法人税の申告に関わる例です。ある経営者が、金融機関から多額の借金をしていて、赤字決算をカバーするため、棚卸を過大に計上していたところ、急逝してしまいました。息子は決算の数字について知らされていませんでした。

 

そこで私のところへ相談があったため、法人税に過大な申告があったとして、更生の請求を期限内に申請しました。法人税だけでなく、当該会社の株価の評価がかなりの高額となり相続税負担に耐えられないことが分かったので、必要な手続きをとったということです。もちろん厳重な法人税・相続税の調査もありましたが、是認されることになりました。

 

もう一つの成功例は次回に説明します。

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    本連載は、2015年7月30日刊行の書籍『低成長時代を生き抜く中小企業経営9カ条』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    真下 和男

    幻冬舎メディアコンサルティング

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