前回は、マイホームの売却手続きで注意したいポイントを取り上げました。今回は、不動産売却による「手取り金額」を算出する方法を見ていきます。

売却益の計算で重要なのは「諸経費の正確な把握」

次に、不動産を売却した際の手取り金額について、具体的な計算方法とともにみていきましょう。

 

手取り金額を求める公式はとても簡単です。通常、売却価格から購入したときの価格(建物の減価償却費は除く)と諸経費および仲介手数料などを差し引くだけです。あとは、譲渡所得の有無によって税金を再計算すればいいだけです。

 

売却益を計算する際に、ポイントとなるのは、いかに諸経費を正確に把握できるかということです。売却価格は変化する可能性がありますが、諸経費についてはそれほど振り幅がありません。だからこそ、正確な数値で把握しておくべきです。

 

税金および諸経費(不動産会社への仲介手数料など)については、第1回でも紹介しました。内容を把握していない方は、再度、チェックしてみてください。

 

ことマイホームの売却に関して言えば、譲渡所得税が発生することはほとんどありません。また、たとえ発生することがあったとしても、さまざまな税優遇措置によって回避できる可能性が高いです。

 

たとえば、マイホームを売却した場合、3000万円の特別控除が用意されています(2016年4月1日現在)。つまり3000万円までは、たとえ利益が出ていたとしても、税金がかからないということです。ただし、期間などの条件が定められているので注意してください。

 

https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3302.htm(国税庁)

 

私が経験したケースでいうと、ある夫婦が離婚したため所有していた物件を売却することになりました。その際、たまたま売却益が出てしまったのですが、特別控除が適用される案件だったために、節税することができました。

 

このような税金の特例措置に関しても、知っているか知っていないかによって、その後の対応が変わってきます。自分でチェックしておくのはもちろんのこと、税金に詳しい不動産業者や関係者とともに売却を進めていくことが大切です。

税優遇措置で不動産取引を活性化させたい日本政府

ところで、なぜマイホームの売却には税の優遇措置がなされているのでしょうか。その背景には、不動産という高額商品の取引を促進させる狙いがあります。

 

現状、不動産マーケットは買い手市場になっています。売りたい人に対して、買い手が少ないのが実情です。しかも、人口減少により、今後もそうした状況が続くと考えられます。

 

しかしながら、経済状況とも密接な関係にある不動産取引が活性化しないと、日本の未来は明るくなりません。端的に言えば、日本経済が伸び悩んでいるために、税優遇措置がなされている、というわけです。あまりに優遇しすぎてバブル期のようにマーケットが加熱してしまうのは避けるべきですが、適度に活性化することは、日本市場を経済面から盛り上げるカンフル剤になるのです。

 

そのような背景があるために、国として、あるいは政府としては、税優遇措置を行ってでも不動産取引を活性化したいと考えています。もちろん、これから不動産取引を行おうとしている人にとって、このような税優遇措置を利用しない手はありません。

 

税金をはじめとする優遇措置の内容は、頻繁に変更されます。つねに、最新の情報を入手して、上手に活用できるようにしておきましょう。

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