中小企業にとって「資金繰り表」の作成が不可欠な理由

今回は、中小企業における「資金繰り表」作成の重要性を見ていきます。※本連載は、株式会社アセットアシストコンサルタントのCEO兼統括コンサルタントを務める大森雅美氏の著書、『使える! 資金繰り表の作り方』(旬報社)の中から一部を抜粋し、経営管理に有効な「資金繰り表」の活用術と作成方法を紹介します。

「資金繰り表」は切羽詰ったなかで作成される!?

相談に来ていただく際には、事業の概要説明の資料として決算書、残高試算表、資金繰り表を持参していただきます。資金繰り表を作成されていない会社が多いのですが、なかには独自のフォーマットですが資金繰り表を作成して資金管理をしている会社もあります。どういう会社かというと、比較的小規模の中小・零細企業で、年商2億円未満の売上、経理が2名くらい、会計ソフトは使っている、というイメージの小規模の会社が多いようです。取引数の少ないなかにあって資金繰りに厳しい会社です。

 

そして、資金繰り表を付けている会社の社長のほとんどが、資金繰り表を作り始めたのは、資金繰りが厳しくなってからだといいます。会社の業績が安泰なときに資金繰り表を使って内部資金の確保に努めていればよかった、と多くの社長が後悔しています。

 

つまり、「資金繰り表を作成する」理由は、資金繰りが厳しくなって切羽詰まったなかで、いつ資金が尽きてしまうのかを確認する必要に迫られて、ということのようです。

 

同じ資金繰りが困難な会社でも、中堅規模の中小企業、年商10億円以上、経理・総務・人事などの部署が間接部門として10人程度、というイメージの中堅規模になると取引数が膨大になり、集計資料も多岐にわたります。この規模以上になると資金繰り表を作成していないように思います。中堅規模で取引数も膨大な量になるため、内部システムが構築されていて、少なくとも業務効率のために会計ソフトと業務集計が連動できるようになっていて、そのため、あえて資金繰り表を作る必要を感じていないということなのでしょう。

資金繰り表の活用で、企業と銀行はもっといい関係に

ここで、興味深い共通点があることに気付きます。小規模の会社も中堅規模の会社も、銀行に資金調達の相談行く際に、資金繰り表は使っていないということです。小規模の会社にあっては、作っているのに銀行には交渉資料として使わず、銀行申し込みの際の提出資料は決算書と直近の月次残高試算表、それに、この先6カ月くらいの売掛予定表です。中堅規模の会社にあっては、決算書と直近の月次残高試算表です。資金繰り表(予定を含む)は提出しなくても審査に入ってもらえているということです。これでは中堅規模会社が、あえて資金繰り表を作ろうとは思わないのも納得いきます。

 

銀行も、資金繰り表は会計ルールのように決まった形があるわけではないので、審査の標準化ができないため重要視しないのでしょう。あるいは、銀行であれば、BS、PLから資金の流れを正確に読み解き経営状況を把握できるので、借手独自の資金繰り表は必要ないということかもしれません。

 

ここが、銀行と企業との関係を変えていける要因の一つになるかもしれません。企業側は、残高を合わせて正確性をある程度担保した分かりやすい形で資金繰り表を作成する。銀行側は、企業側が作成する資金繰り表を基にお金の入出金の実績を確認し、予定をヒアリングしていく。取引する全ての銀行の残高が1枚で示されていればメリットもあるはずです。手形取り扱いもない企業に受取手形・支払手形の予定が入った自行のフォーマットでしか判断しかねるというのでは、関係は今までと変わらなくなってしまうでしょう。

 

借手の作成する資金繰り表に財務収支の欄があれば、必要な資金も、可能な返済金額も見えてくるはずです。

 

資金繰り表を活用することは、銀行と企業の関係を、今まで以上に友好なものに変えていけるかもしれないのです。

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連載企業の経営管理に役立つ「資金繰り表」作成のノウハウ

株式会社アセットアシストコンサルタント CEO兼統括コンサルタント

事業再生を得意とする経営コンサルタント。
1970年生まれ。神奈川大学法学部卒業。株式会社アセットアシストコンサルタントのCEO兼統括コンサルタントとして日々活動中。著書に『あきらめるのは早すぎる―大森雅美の目からウロコの事業再生術』(2012年、旬報社)などがある。

著者紹介

使える! 資金繰り表の作り方

使える! 資金繰り表の作り方

大森 雅美

旬報社

これなら直感的にかつ客観的に分かる! 経営陣にとっては、会社の資金計画を明確にして、事業を継続・拡大するための最大の武器となり、投資家、銀行、取引先に対しては第一義的なエビデンスとなるものが「資金繰り表」だ! …

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