今回は、資金繰り表の「投資収支」の項目について記載のポイントを見ていきます。※本連載は、株式会社アセットアシストコンサルタントのCEO兼統括コンサルタントを務める大森雅美氏の著書、『使える! 資金繰り表の作り方』(旬報社)の中から一部を抜粋し、経営管理に有効な「資金繰り表」の活用術と作成方法を紹介します。

儲けは「営業外収入」、回収元本は「投資収入」に入力

増資の予定や、すでに他社に投資しているものの回収がある場合には、投資収入に実入金額を入力していきます。すでに投資したものの儲け(リターン)は営業外収入に入力し、回収元本を投資収入に入力すると理解がしやすくなります。

 

[図表]投資収支

投資収支は、財務収支の後に設定する。増資の可能性や投資余力のない状況なら事業に集中し、借入の選択を安易にしないように、この欄を作成しないほうがよいこともある。

財務収支の後に「投資収支」の欄を設定する意味とは?

内部留保の使い道としては事業再投資を第一に考えます。しかし、再投資の環境になく、本業以外で収益を得る選択をする場合は、「投資ありき」で判断しないように、財務収支の後に「投資収支」の欄を設定するようにします。

 

財務収支の前にこの欄を配置すると、直観的に投資ありきで考えが先行し、手持ち資金以外に借入を使ったレバレッジ(てこの原理)で大きな利益を求めてしまうこともあります。本業を維持・拡大できる手持ち資金を確保したうえで投資するように気を付けましょう。

 

本業が厳しい状況になりつつある、または、もうすでに厳しい状況であるならば、たとえ内部留保があり借入可能で状況があったとしても、本業以外の収入を安易に期待して投資すべきではありません。そのような状況の時には、「投資収支」欄を資金繰り表に入れないほうがよい場合もあります。

使える! 資金繰り表の作り方

使える! 資金繰り表の作り方

大森 雅美

旬報社

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