資金繰り表の管理において「特別損益」をどう捉えるか?

今回は、資金繰り表の管理において「特別損益」をどう捉えるか等を見ていきます。※本連載は、株式会社アセットアシストコンサルタントのCEO兼統括コンサルタントを務める大森雅美氏の著書、『使える! 資金繰り表の作り方』(旬報社)の中から一部を抜粋し、経営管理に有効な「資金繰り表」の活用術と作成方法を紹介します。

実出金をともなわずに「特別損失」を使う場合は・・・

経常利益と税引き前当期利益のあいだにあるのは、特別利益と特別損失です。この項目には実入出金をともなう記載は少ないかもしれません。それは、この項目が貸借対照表(BS)の資産の売却、負債の減免という特殊な事情を反映した項目になるからです。特別利益で実入金をともなうのは、会社の資産が決算書に記載されている金額より高く売れた時や、負債の免除を受けた時など、日常的にはあまりないことが発生した時です。

 

ここで注意したいのは、実出金をともなわずに特別損失を使う場合です。決算書の資産の部において、実際にはもう資産価値のないものがあり、それを正しく評価し直して実際に合わせた数値にする時に、資産の減少分を特別損失に計上して正していく場合があります。しかし、その損失はPLに記載できても税務上は損金として認めてもらえない場合があるのです。損金として認められなければ、その計上分の金額には税の軽減効果はありません。あまり使われる項目でありませんが、注意は必要です。

 

特別損益の項目も会計ルールにとらわれすぎずに、実入出金の有無を重視して、資金繰り表で営業外収支の項目を使って管理したほうが事業の運営において分かりやすい資料となるでしょう。

「当期純利益」≠「純キャッシュの積み上げ」

税引き前当期利益から当期純利益のあいだには、法人税等があります。会計ルールの項目としては、何も注意すべきことはありませんが、資金繰り管理の視点からは注意が必要です。当期純利益の金額が儲けとして会社の純キャッシュの積み上げと一致しないということです。5利益の各項それぞれで計上数値と実入出金の数値がタイミングによって一致しないことは述べてきました(第3回参照)。ですから当期純利益についても、計上されている当期純利益の数値が純キャッシュの積み上げと一致しないことはだいたい理解いただけるでしょう。大事なので繰り返しますが、当期純利益の金額分が会社のお金として増えているわけではないということです。

 

会計数値は、経営の指標の一つとしてとらえて経営計画に活かして欲しいと思います。

 

視点を変えて会社の儲けと実際のお金のあり方をみる時、消費税に着目してみましょう。貸借対照表(BS)の負債には未払消費税としてありますが、損益計算書(PL)には出てきません。会社の実際の入出金においては大きな支出(出金)をともなうものですが、会計ルールにおいては儲けとは関係ないものととらえられるからです。このことからも、BS、PL、CF(キャッシュフロー表)を読み解きながらお金の流れを把握して経営計画を立案・実行するよりも、実入出金から資金繰り表を作成したほうが事業運営は分かりやすくなるのです。

 

事業の運営を、資金繰りからの視点で経営計画の立案・実行・修正することを考えると、資金繰り表を直観的に分かりやすく作成することの重要性がご理解いただけることと思います。

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株式会社アセットアシストコンサルタント CEO兼統括コンサルタント

事業再生を得意とする経営コンサルタント。
1970年生まれ。神奈川大学法学部卒業。株式会社アセットアシストコンサルタントのCEO兼統括コンサルタントとして日々活動中。著書に『あきらめるのは早すぎる―大森雅美の目からウロコの事業再生術』(2012年、旬報社)などがある。

著者紹介

使える! 資金繰り表の作り方

使える! 資金繰り表の作り方

大森 雅美

旬報社

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