共有名義不動産における「維持管理費」の取り扱い

前回は、共有名義不動産における「持分の割合」の決め方を紹介しました。今回は、共有名義不動産における「維持管理費」の取り扱いについて見ていきます。

費用は居住にかかわらず、持分に応じて負担

不動産を所有している場合、その維持管理に必要な修繕や改装等のために様々な費用が発生することになります。共有名義不動産では、こうした不動産の管理等に要する費用やその他の負担はどのような取り扱いとなっているのでしょうか。

 

この点に関しては、民法がいくつかの決まりを定めています。まず第一に、各共有者は、その持分の割合に応じて共有物の管理費用を支払い、共有物に関するその他の負担をしなければなりません。

 

この管理費等に関する義務は、共有名義不動産に住んでいない共有者に対しても課されることになります。「住んでいないのになぜ?」と思うかもしれませんが、マンションの管理費をイメージしてみてください。マンションを所有している以上は、たとえそこに住んでいなくても、管理組合から管理費を請求されるはずです(ちなみに水道光熱費は共有物の負担には該当しません)。

支払義務を果たさない共有者を切る「強制買取制度」も

そして、第二に、共有者が1年以内にこの義務を果たさないときには、他の共有者が相当額の償金(金銭)を支払ってその者の持分を取得することができます。

 

共有物に関して負担すべき費用を支払わないような人と一緒にモノを共有しているのは、他の共有者にとって気持ちのいいことではありません。そこで、費用を支払わない人を共有関係から切り離すことを可能とするために、このような「強制買取制度」が認められているのです。

 

なお、他の共有者に対して債権を有する共有者は、その特定承継人(共有持分を譲り受けた人など)に対してもその権利を行使できます。たとえば、甲不動産の共有者であるXがその管理費を支払わないまま、第三者であるBに自己の持分を売却した場合、甲不動産の他の共有者たちはBに対して「Xの支払っていない管理費を払え」と請求することができるのです。

本連載は、2017年5月26日刊行の書籍『あぶない!! 共有名義不動産』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載「共有名義不動産」のトラブル事例と解決策

株式会社中央プロパティー 代表取締役社長

1970年生まれ。
2011年に業界で唯一、共有名義不動産の仲介を扱う株式会社中央プロパティーを創業。弁護士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家とともに問題解決に取り組む体制を確立し、現在までに約2000件のトラブル解決を手がける。
住宅ローンアドバイザー(社団法人全日本不動産協会認定)、相続アドバイザー(NPO法人相続アドバイザー協議会認定)。

著者紹介

あぶない!! 共有名義不動産

あぶない!! 共有名義不動産

松原 昌洙

幻冬舎メディアコンサルティング

「共有名義不動産」をめぐるトラブルがあとを絶ちません。 たとえば兄弟姉妹の場合、相続の際に現金資産はすぐに分割しても、実家などの不動産は「とりあえず共有で持とう」とするケースは珍しくありません。しかし、「仲の良…

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