今回は、縄伸びの現地調査で意識したい「広大地評価適用」の可能性について見ていきます。※本連載は、税理士法人オフィスオハナの代表税理士・吉野広之進の著書、『土地評価に係る現地調査の重要ポイント』(税務研究会出版局)の中から一部を抜粋し、土地の現地調査の重要ポイントをやさしく紹介していきます。

広大地評価が適用できれば、大幅な評価減が可能に

前回の続きです。

 

評価の現地確認などの過程で、この「縄伸び」事例に遭遇すると、未だにドキッとします。

 

本文中の西田君のように「気付かなかったことにする・・・」ということはないにしても、クライアントに理解してもらうには、どのように説明すべきか、または、評価に際してどのような方法で、より正確な実面積を算定すべきかなどを慎重に考えなければなりません。

 

今回の事例のように、近々売却の予定が見込まれるのであれば、売却の手続の一環としての測量を行ってもらうこともできますが、そうでない場合は、費用負担の問題その他を理解していただいて実面積の算定を行う必要があるからです。

 

こうした場合は以下のような開発想定図を作成することになります。

 

[図表]開発想定図の例

 

今回の事例のように、「縄伸び」が確認されたことにより、評価面積は増大してしまいますが、広大地評価の適用ができれば大きな評価減額が期待できます。

 

「縄伸び」がありそうな現地確認には、同時に「広大地評価適用」の可能性を想定して行うことが必要となります。

4つに大別される「広大地評価」のポイント

ここで、広大地評価について触れておきます。

 

財産評価基本通達24-4や平成17年6月17日付資産評価企画官情報第1号に掲載されたフローチャートから広大地評価のポイントは次の4つに大別されます。

 

①大規模工場用地に該当するか

②マンション適地に該当するか

③その地域における標準的な宅地に比し著しく広大か

④開発行為を行う際に公共公益的施設用地の負担が必要か

 

この4項目を見る限りにおいては、広大地評価の要件は、非常に簡略化され、判定も安易にできるように思えますが、①大規模工場用地に該当するか以外は、非常に判断が難しいのが実情です。

 

広大地評価の適用・不適用では、評価額が大きく変動することから、適用に当たっては、細心の注意が必要となります。

 

次回は、当事例の計算例を見ていきます。

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