今回は、「縄伸び」の税額への影響と「縄伸び」の可能性のある土地の傾向などを見ていきます。※本連載は、税理士法人オフィスオハナの代表税理士・吉野広之進の著書、『土地評価に係る現地調査の重要ポイント』(税務研究会出版局)の中から一部を抜粋し、土地の現地調査の重要ポイントをやさしく紹介していきます。

安易な土地の評価は、修正申告の対象に!

前回の続きです。

 

<解説>

「縄伸び(縄延び。なわのび)」とは、登記簿に記載されている地積より、 実測の地積の方が広い場合をいい、その逆で、登記簿に記載されている地積より、実測の地積の方が狭い場合を「縄縮み(なわちぢみ)」といいます。

 

実務上は、「縄縮み」が起きている場合は少なく、「縄伸び」が起きていることがほとんどです。

 

過去の事例から、この「縄伸び」は、登記地積のプラス10~30%程度となっているケースが多いようですが、中には登記面積の1.5倍や2倍などという事例も見受けられます。
「縄伸び」「縄縮み」など、土地の現状を正しく理解できていない状況で、安易な土地の評価計算を行うと、後日、修正申告となってしまう可能性が大きくなりますので、注意が必要です。


【具体例】

路線価20万円、330㎡(100坪)の土地で20%縄伸びがあり、適用する相続税率が30%の場合の修正税額。

 

(計算式)

20万円×330㎡×20%=1,320万円・・・縄伸びにより評価誤差

1,320万円×30%=396万円

多くの土地は未だ正確な土地の評価が行われていない!?

評価を行う場合には、登記簿や公図の確認を省略することなく、これらを入手し、その内容をしっかり確認する必要があります。


近年の区画整理事業や開発により分譲された土地などは、正確な測量が行われていることから、このような面積の差は生じにくいといえますが、大部分の土地については、正確な測量が行われていません。このため実務においては、土地の面積(地積)と登記上の地積が一致しない事例に頻繁に遭遇します。

 

事前の机上作業の段階で、登記簿の確認をする際に、次のような土地をピックアップしましょう。

 

A 登記地目が宅地や雑種地の場合

●過去から所有し続けており相続や贈与などの親族間で名義変更が行われてきている

●昭和の時代に売買などで取得している

 

B 登記地目が田や畑などの場合

 

C 過去に分筆されている土地で、地番が○○番1のように枝番に若い番号が振られている。

 

このような土地は、縄伸びや縄縮みのように、実面積と登記面積にズレが生じている可能性がありますので、現地確認の際には、より注意が必要となります。

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