共有不動産や共有物分割の課税関係における留意点

今回は、共有不動産や共有物分割の課税関係における留意点を見ていきます。※本連載では、弁護士法人みずほ中央法律事務所・司法書士法人みずほ中央事務所の代表弁護士・三平聡史氏の著書『共有不動産の紛争解決の実務』(民事法研究会)の中から一部を抜粋し、共有不動産に関する紛争の基本的な考え方と典型事例を見ていきます。

税法の解釈・運用において重要な民事的解決の徹底

前回からの続きです。

 

共有物分割によって共有関係が解消され、根本的な紛争解決が実現したと思ったときに、思わぬ課税が生じることもあります。課税関係は、紛争解決の見通しの検討・判断の段階で把握すべき重要な事情のつです。課税面も含めた効果・結果を基に、その紛争解決方法を選択するかどうかの判断をする必要があります。

 

税法の解釈・運用においては、民事的な法律解釈と異なる考え方が多くあります。民事的解決を徹底して考慮するからこそ陥りやすい落とし穴といえます。共有物分割に限らず、共有不動産に関する一般的な課税においても同様に、意外な解釈・取扱いがありますので、注意を要します。収益や経費の分担・分配の内容によって課税関係が生じることもあります。

 

共有不動産に関する課税については、紛争解決の参考程度ではなく、主たる考慮事項の1つとして位置づけるべき問題です。

状況により「共有持分放棄」は有力で効率的な選択肢

共有関係から離脱する方法は、共有物分割以外にもあります。

 

その1つが、共有持分放棄です。共有持分放棄は、状況によっては有力で効率的な選択肢です。対価は得られませんが、迅速に共有関係から抜けることができます。通知だけで法的な効果が生じ、放棄した者以外の共有者に共有持分が移転する結果になります。

 

実際には、共有持分放棄の後、他の共有者から登記申請の協力が得られないことがよくあります。登記移転が完了するまでは固定資産税の課税が生じてしまいます。そこで、このような場合は登記引取請求訴訟を利用します。これは判例で認められるようになった方法です。この訴訟では、理論的な争点はほとんどありません。また、一般の訴訟のように、審理に長期間を要するということもありません

 

ここでは、共有に関するさまざまな法的問題、紛争についての主要なものを概観しました。この点、実際のケースでは、このような細かい法律問題がいくつか組み合わさっています。多くの紛争をケース全体としてとらえると、大きくつの種類に分類できます。つのケースの類型ごとの紛争の特徴や解決方法の概要は、次回以降で解説します。

本連載は、2017年2月刊行の書籍『共有不動産の紛争解決の実務』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載「共有不動産」に関する紛争解決~基本的な考え方と典型事例

弁護士法人みずほ中央法律事務所・司法書士法人みずほ中央事務所 代表弁護士

昭和48年埼玉県大宮市生まれ、平成8年早稲田大学理工学部資源工学科卒業、平成10年司法書士試験合格、司法書士登録(埼玉司法書士会、現在は東京司法書士会)、平成12年司法試験合格、平成14年弁護士登録(第一東京弁護士会)、朝日中央綜合法律事務所入所、平成19年弁護士法人みずほ中央法律事務所・司法書士法人みずほ中央事務所開設。

著者紹介

共有不動産の紛争解決の実務

共有不動産の紛争解決の実務

三平 聡史

民事法研究会

共有不動産の管理、他の共有者や第三者に対する明渡請求・金銭請求、共有関係解消のための共有物分割・共有持分買取り・共有持分放棄などを事例に即して詳解!実務で使用する通知書・合意書・訴状などの書式、知っておくべき判…

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