今回は、多くの人が悩む相続について、具体的にどんな点が問題になっているのかを見ていきます。※本連載は、公認会計士・税理士で、経営塾「未来ネット」を主催する、税理士法人みらい・辻中修氏の著書『よくわかる! 相続への対応 改訂増補版 』(三恵社)の中から一部を抜粋し、相続に関する基礎知識から実際の相続対策、国際税務の概要までやさしく解説していきます。

配偶者や親族の口出し、特例が使えない・・・

相続は、財産や債務という金銭に絡む事項であることから、相続人の将来の生活にかかわる重要な関心事です。このため、遺産分割にあたり、相続人ばかりでなく配偶者や親族等が関与してくることがあります。

 

また、相続に関する知識の少ない人が多いことから多額の納税が発生したり、特例の適用ができなかったり、相続の放棄をしないことによる債務の負担のみが発生することもあります。事業を行っている場合には、相続に関し気軽に相談する専門家が近くにいますが、一般の人は、そのような人がいないことが通常です。

 

このようなことを背景に、相続においては、古今東西、悩みとトラブルが絶えません。

 

具体的な内容とその対応に関しては、書籍『よくわかる! 相続への対応 改訂増補版』第六章の相続対策を参照してください。ここでは、悩みや問題に関し、トピックスを例示します。

海外居住や海外資産に関する悩みなども

①相続人に関するもの

イ、相続開始後、愛人との間に認知した子がいることが判明し、その子が遺産分割を請求してきた事例。

ロ、夫婦で築き上げた財産にも関わらず、子供がいないため、夫の死亡後、夫の母(又は夫の兄弟)から遺産分割を求められた事例。

ハ、認知症の母を介護してきた父が死亡し、認知症の母が残り、どのように相続を進めていいかわからない事例。

 

②遺産分割に関する事項

イ、母が亡くなり、母と同居していた長男が唯一の財産である自宅を相続しようとすると、生活に困っている姉妹が納得しない事例。

ロ、母の遺言で同居する長女に全ての財産を相続させることが判明すると、母の生前、長女のみが母から不動産の贈与を受けたことに不満を持つ次女と三女が、生前贈与の不動産(特別受益)を含めた相続財産に対し、遺留分の減殺請求をしてきた事例。

 

③借入金を相続

事業に失敗し、生活苦の中で父が死亡しました。相続する財産もないと考えていたところに、相続開始後数か月を過ぎてから、父に借金があることが判明しました。相続人である長男と次男は、どのようにしたらいいかわからず、放置したまま悩んでいる事例。

 

④遺言書

自宅を長男に相続させる旨を記載した父の遺言書が法的要件を満たさず無効となり、父の遺志に反し、一つしかない財産である自宅に対し、他の兄弟から自宅を売却し金銭による遺産分割を求められた事例。

 

⑤事業承継と相続税

A社を経営するBは、相続財産のほとんどがA社株式、A社に賃貸している土地及び自宅であることから、相続税の納税をどのようにしたらいいのか、また今後の日本経済を考えると長男に会社を継がせるべきか悩んでいる事例。

 

⑥海外居住者の相続

会社を経営するAは、十数年前にタイへ進出し、現地会社への出資と現地で個人資産を保有しています。その出資と現地財産を後継者の長男に相続させたいが、資産の移転方法や課税関係で悩んでいる事例。

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    本連載は、2016年12月9日刊行の書籍『よくわかる! 相続への対応 改訂増補版』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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