今回は、経済のグローバル化で必要になった「国際課税」の基礎知識を見ていきます。※連載は、公認会計士・税理士で、経営塾「未来ネット」を主催する、税理士法人みらい・辻中修氏の著書『 よくわかる! 相続への対応 改訂増補版 』(三恵社)の中から一部を抜粋し、相続に関する基礎知識から実際の相続対策、国際税務の概要までやさしく解説していきます。

全世界に住居・仕事・財産を持つようになった日本人

1.国際化の進展

 

経済のグローバル化に伴い、多くの企業が海外に進出し、それに伴い社員や家族も海外に居住するようになりました。今後の世界経済と日本社会(少子高齢化、人口減少、財政悪化と国民負担の増加等)を考えると、経済のグローバル化はさらに進展し、経済的には国境がなくなり、物、金、人、情報が自由に世界中を飛び回る時代になると予測されています。

 

このような環境下、多くの日本人が全世界に居住し、全世界で事業活動や仕事を行い、全世界で財産を保有するようになりつつあります。

対応策として日本でも各税制の導入がすすめられている

2.日本での課税関係

 

(1)グローバル化への対応

 

従来、日本の税法はグローバル化社会を想定して作られたものではありませんでした。

 

しかし、経済のグローバル化に伴い、企業や人の活動に変化が生じ、国際取引が増加し、全世界に日本企業が進出し、そこに日本人が居住し資産を有するようになると、企業や個人の課税関係が国際化するとともに、海外の様々な国との間で、税務上の調整も必要になります。

 

租税は国家の収入の源泉であり、また、その課税権は国権の発動でもあります。世界の国々は、自国の租税債権の確保のため、取引の国際化、企業や人の国際化、財産保有の国際化に合わせ、租税法を改正し、その取扱いを変更させています。

 

日本においても、このような経済活動の国際化や諸外国の租税法の改正に合わせ、法人税法・所得税法・相続税法等租税法の改正を行うと同時に、租税条約の締結等を行い、世界各国との調整を図っています。日本における税制の改正は、 取引の実態、他国の動向、租税条約、OECDモデル条約等を斟酌して行われております。

 

このようなグローバル化に対応するため、法人税では移転価格税制、外国子会社合算税制、過小資本税制、過大支払利子制度、外国税額控除等の税制が導入されています。また、所得税や相続税・贈与税では、出国課税制度、国外財産調書制度、納税義務者の範囲拡大等の税制が施行されています。

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    本連載は、2016年12月9日刊行の書籍『 よくわかる! 相続への対応 改訂増補版』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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