二代目後継者に求められる 「会社の数字」を読み解く力

今回は、二代目後継者に求められる「会社の数字」を読み解く力について見ていきます。※本連載では、プレジデント ディシジョン パートナー代表・中小企業診断士の小島規彰氏の著書『会社を継ぐあなたが知っておくべき事業承継そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント』(青月社)の中から一部を抜粋し、主に二代目経営者の方を対象に、事業承継のポイントを超実践的なノウハウをストーリー仕立てで紹介していきます。

「感覚的な表現」を多用する会社もあるが・・・

「売上が少し落ちた」「材料がだいぶ高くなった」「もっと丁寧に仕上げる」「なるべく早くやる」。こういう感覚的な表現を会話の中で多用する会社の業務管理のレベルは、えてして高くない。同時にその会社は、コミュニケーションがうまくいっているようで、実はそうではない。

 

それも当然だ。「少し」「だいぶ」「もっと」「なるべく」。そういった言葉は、人によって異なる尺度を持つからだ。自分は「明日には完成しているだろう」と思っていたにもかかわらず、他の人は「今週中に終わらせるつもりでいた」、なんてこともありうる。

 

これは話し方のくせの問題であり、上司や先輩がそういう会話をしていると、部下や後輩もそれを真似てしまう。まずは後継者であるあなたが、意識しながら具体的な数字で話をするくせをつけなければならない。

「経営指標」を理解しながら、同業他社と比較分析

「会社のことはすべて把握しているので、細かい数字など気にしない」などとトンデモ発言をされる社長がいらっしゃる。本当にそれでよいのだろうか?

 

会社を体に例えてみればわかりやすいだろう。本人が感覚で大丈夫と思っていても、健康診断の結果、数値の異常が体の異変を示してくれるのだ。これに納得いただけるようであれば、自社の状況も数字でチェックしてほしい。

 

チェックをするには、経営指標を分析するとよい。同業他社との比較は、「TKC経営指標(BAST」(TKCグループ)や「小企業の経営指標」(日本政策金融公庫)等を参照する方法もある。同業種で上場している企業があれば、有価証券報告書等の公表情報から同じ項目の数字を拾って計算してみればよい。

 

業種によって見るべき指標の重要さの度合いは異なるが、一般的な視点というものがある。指標の意味を正しく理解しながら、自社と他社との違いを大まかに把握することができよう。(図表1)は大鉄鋳造の指標を鋳物業の中小企業データと比べたものであり、いろいろな点で違いを認識できるものと思う。

 

[図表1] 同業他社との経営指標比較

※他社比較は「◎良い、○問題なし、△問題がなくはない、▲少し悪い、×悪い」の5段階評価
※他社比較は「◎良い、○問題なし、△問題がなくはない、▲少し悪い、×悪い」の5段階評価

 

ただし、参考にしたデータの特性を知っておく必要がある。公表された統計値等は主に決算数値に基づくものであるが、世の中小企業は、決算書について何かしらの調整を行っているのが実態である。利益が出すぎれば節税対策を行うし、逆であれば利益が出ているように見せる、すなわち粉飾だ。よって可能であれば、父親からヒアリングを行って、実態を反映した貸借対照表と正常収益力を把握しておくことも重要である(図表2)。

 

[図表2] 実態貸借対照表と正常収益力の把握

本連載は、2016年10月27日刊行の書籍『会社を継ぐあなたが知っておくべき事業承継そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント』(青月社)から抜粋したものです。著書である小島規彰氏のコンサルティング経験に基づいて書かれたフィクションです。登場する個人名・社名は架空の名称であり、実在する特定の人物とは関係がありません。

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連載ストーリーで学ぶ! 二代目のための「事業承継」マニュアル

プレジデント ディシジョン パートナー 代表 中小企業診断士
システム監査技術者

東京都立大学理学部物理学科卒。管理本部、内部監査等の業務を経験。学生時代の夢の実現のため商業カメラマンに転身。ところが、その時自分で構築した写真販売用のWEBサイトにはまり「時代はIT」と感じ転職。IT会社では事業企画や営業、SEを10年間経験。自身の実務経験が誰かの役に立つのではないかと、コンサルファームに就職。再生等の中小企業支援を行う。平成26年10月に事務所を開設、平成29年3月より本格的に独立開業。

著者紹介

会社を継ぐあなたが知っておくべき 事業承継 そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント

会社を継ぐあなたが知っておくべき 事業承継 そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント

小島 規彰

青月社

どんな業種、どんな規模の会社にもいずれは訪れる、「事業承継」という一大事。特に中小企業においては “親から子へ" の継承がいまだに多くを占めていますが、近しい関係であるがゆえの難しさもあり、経営者にとって大きな悩…

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