事業承継の鍵を握る、後継者の「覚悟」の決め方

今回は、後継者の「覚悟」というテーマを考えていきます。※本連載では、プレジデント ディシジョン パートナー代表・中小企業診断士の小島規彰氏の著書『会社を継ぐあなたが知っておくべき事業承継そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント』(青月社)の中から一部を抜粋し、主に二代目経営者の方を対象に、事業承継のポイントを超実践的なノウハウをストーリー仕立てで紹介していきます。

会社を息子・娘へと継がせる割合はいまだに高い

社長である父親(母親の場合もあるであろうが、本書では「父親」として統一させていただく。同時に経営の承継者も「息子」とさせていただく)の会社に対する思いは特別である。ただ年老いたからといって、人生を捧げてきた会社を他人に渡してしまえるような人は稀であろう。

 

現実として、第三者への承継を選択する割合は四割に満たないのが実情である。一方で息子・娘への承継は、昔に比べて減少しているものの、依然として五割を超えている(図表1)。

 

[図表1] 現経営者と先代経営者の関係

中小企業庁『中小企業白書(2013年版)」をもとに筆者作成
中小企業庁『中小企業白書(2013年版)」をもとに筆者作成

受け継ぐことを決意するきっかけは「百社百様」

大学生にもなれば、自分の将来を考えないわけがなく、同時に父親の会社に改めて興味を持つ人も多い。一方、子どもがそんな年齢になれば、親もいい年齢になっていることが一般的であろう。本来は自分の体を気遣ってやらなければならない年齢にもかかわらず、無理を続けてしまうので、体を壊してしまう。そんなタイミングで後継者をどうするかを意識することになる。

 

あるケースでは、不況の煽りで大規模なリストラを実施した翌日、普段飲まない酒を飲んで涙していた父親を見て気持ちが揺らいだという娘さんもいた。就職活動をきっかけに父親の会社の技術力や地域貢献度の高さを知り、興味を持った息子さんもいた。きっかけは様々であり、〝百社百様〟なのだ。

 

内容はどうあれ、覚悟が重要である。覚悟はその後の人の振る舞いを大きく左右する。

 

「自信はないけど、自分が継がないとダメだろうな……本当にそうかな……」

 

それくらいの心配と不安とがあるほうが自然だし、普通である。

 

悩んだあげく、自分の意志が固まったら、父親にその旨を打ち明けよう。正道のように「親父の会社を手伝いたい」くらいの伝え方でいい。カリスマ社長であったとしても、一介の父親である。「お前には無理だ」と憎まれ口を叩かれるかもしれない。しかし、内心は嬉しいに違いない。

本連載は、2016年10月27日刊行の書籍『会社を継ぐあなたが知っておくべき事業承継そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント』(青月社)から抜粋したものです。著書である小島規彰氏のコンサルティング経験に基づいて書かれたフィクションです。登場する個人名・社名は架空の名称であり、実在する特定の人物とは関係がありません。

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連載ストーリーで学ぶ! 二代目のための「事業承継」マニュアル

プレジデント ディシジョン パートナー 代表 中小企業診断士
システム監査技術者

東京都立大学理学部物理学科卒。管理本部、内部監査等の業務を経験。学生時代の夢の実現のため商業カメラマンに転身。ところが、その時自分で構築した写真販売用のWEBサイトにはまり「時代はIT」と感じ転職。IT会社では事業企画や営業、SEを10年間経験。自身の実務経験が誰かの役に立つのではないかと、コンサルファームに就職。再生等の中小企業支援を行う。平成26年10月に事務所を開設、平成29年3月より本格的に独立開業。

著者紹介

会社を継ぐあなたが知っておくべき 事業承継 そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント

会社を継ぐあなたが知っておくべき 事業承継 そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント

小島 規彰

青月社

どんな業種、どんな規模の会社にもいずれは訪れる、「事業承継」という一大事。特に中小企業においては “親から子へ" の継承がいまだに多くを占めていますが、近しい関係であるがゆえの難しさもあり、経営者にとって大きな悩…

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