会社の二代目が「入社前に他社で鍛える」メリットとは?

今回は、会社の二代目が入社前に「外の世界」を経験するメリットについて見ていきます。※本連載では、プレジデント ディシジョン パートナー代表・中小企業診断士の小島規彰氏の著書『会社を継ぐあなたが知っておくべき事業承継そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント』(青月社)の中から一部を抜粋し、主に二代目経営者の方を対象に、事業承継のポイントを超実践的なノウハウをストーリー仕立てで紹介していきます。

自社よりも規模の大きい企業で「ノウハウ」を吸収

父親の会社に入社する前に、外の世界で鍛えてみることをぜひ勧めたい。ただし、あらゆるケースでそうすることが最善策というわけではなく、父親の会社の規模による。本書では父親の会社をいわゆる中小企業として想定しており、企業規模別にどのように外で鍛えるのがよいのか、私の経験をもとに図表にまとめてみたので、参考にしてほしい。

 

[図表]入社前にどこで鍛えるべきか?

 

外の世界を経験することのメリットは、業務上の経験を積むことはもちろん、組織運営のノウハウを学んで吸収できることにある。

 

父親の会社の規模が小さいと、そのノウハウは有効に機能しないこともあるので、従業員数が二十人程度であれば、中で鍛えるという選択肢もある。次に従業員が一〇〇人程度まで増えると、例外なく組織的なまとまりが必要になる。社長の強大なリーダーシップがあればなんとか収拾がつく規模であるが、あなたにそういった資質が備わっていない場合は、やはり組織運営のノウハウに学ぶことは多い。従業員数が一〇〇人を大きく超えればなおさらだ。自社よりもさらに規模の大きい企業を選び、そこでノウハウを吸収することが望ましい。

 

だが、都合のいいタイミングでその会社に入れるかどうかは別問題である。相手企業の状況、競争環境や機密管理等様々な制約からこちらの期待通りにはいかないこともあるだろう。そのときは、図表のように別の候補も検討してみる。

二代目の力を高める「他社での社会人経験」

外の世界の経験を勧める理由は他にもある。すぐに父親の会社に入って業績回復に貢献したいという、はやる気持ちはわかるが、今のあなたが貢献できることはおそらくほんのわずかでしかない。長い目で見れば、一度外に出て経験できるメリットは大きい。それは次の四つである。

 

ひとつ目は、「社会人経験」である。社長の身内であるあなたを、叱ったり注意したりする従業員はほとんどいないと思われる。社会人としてのマナーや振る舞いといった部分は、厳しい上下関係や取引先とのやりとりの中から学ぶことも多い。正しいマナーや振る舞いは品格を高くする。これからの人間関係の中で下手なところで損をしないために、マナーや振る舞いをしっかりしておく必要がある。また、マナーだけでなく、平社員としての経験によって、一般社員が組織の中で抱くであろう感情や気持ちを汲み取る能力も身につくはずである。

 

ふたつ目の理由は、「問題解決の経験」である。父親の会社への体験入社時に見つけた社内の問題は、実はどの会社にも存在する一般的な内容なのだと気づく。それをチャンスと捉え、自らその問題の解決を試みてみる。そこで、社内の組織力学、政治力学の存在を知り、問題解決が理想ときれい事だけではいかに進まないかを体験することは、貴重な経験となるであろう。

 

三つ目の理由は、「人脈構築」である。組織の中にはいわゆる優秀な人、実力のある人が必ずいる。そういった人間とのつきあいを大事にしておけば、将来あなたが困ったときの相談相手になってくれるかもしれない。見ず知らずの人に助けを求めるよりも、より明確で確実なアドバイスを受けることができるだろう。

 

四つ目の理由は、「失敗経験」だ。業況の芳しくない父親の会社では、残念ながら何度も失敗経験はできない。本人としては学ぶことが多かったとしても、周囲は好意的には見てくれない。なるべくなら、父親の会社に入社後は、小さくてもよいから確実に成功を積み重ねたい。そうするためには、できる失敗はあらかじめ外で経験してしまったほうがよい。同時に、失敗は人を謙虚にする。謙虚になって他人の考えを尊重し理解しようとする。そういった姿勢が自身の視野を広げ、人間を大きくすることにつながる。

本連載は、2016年10月27日刊行の書籍『会社を継ぐあなたが知っておくべき事業承継そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント』(青月社)から抜粋したものです。著書である小島規彰氏のコンサルティング経験に基づいて書かれたフィクションです。登場する個人名・社名は架空の名称であり、実在する特定の人物とは関係がありません。

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連載ストーリーで学ぶ! 二代目のための「事業承継」マニュアル

プレジデント ディシジョン パートナー 代表 中小企業診断士
システム監査技術者

東京都立大学理学部物理学科卒。管理本部、内部監査等の業務を経験。学生時代の夢の実現のため商業カメラマンに転身。ところが、その時自分で構築した写真販売用のWEBサイトにはまり「時代はIT」と感じ転職。IT会社では事業企画や営業、SEを10年間経験。自身の実務経験が誰かの役に立つのではないかと、コンサルファームに就職。再生等の中小企業支援を行う。平成26年10月に事務所を開設、平成29年3月より本格的に独立開業。

著者紹介

会社を継ぐあなたが知っておくべき 事業承継 そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント

会社を継ぐあなたが知っておくべき 事業承継 そのプロセスとノウハウ 「ストーリー+解説」で理解する32のポイント

小島 規彰

青月社

どんな業種、どんな規模の会社にもいずれは訪れる、「事業承継」という一大事。特に中小企業においては “親から子へ" の継承がいまだに多くを占めていますが、近しい関係であるがゆえの難しさもあり、経営者にとって大きな悩…

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日時 2017年11月12日(日)
内容

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・トランプ政権は政策発動に行き着くのか?そしてマーケットへの影響は?

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内容

・米国経済の実体と金融政策の動向は?

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