著者

  • 安藤 寿康
    慶應義塾大学名誉教授
    教育学博士
    1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学名誉教授。教育学博士。専門は行動遺伝学、教育心理学、進化教育学。日本における双生児法による研究の第一人者。この方法により、遺伝と環境が認知能力やパーソナリティ、学業成績などに及ぼす影響について研究を続けている。『遺伝子の不都合な真実─すべての能力は遺伝である』(ちくま新書)、『日本人の9割が知らない遺伝の真実』『生まれが9割の世界をどう生きるか─遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋』(いずれもSB新書)、『心はどのように遺伝するか─双生児が語る新しい遺伝観』(講談社ブルーバックス)、『なぜヒトは学ぶのか─教育を生物学的に考える』(講談社現代新書)、『教育の起源を探る─進化と文化の視点から』(ちとせプレス)など多数の著書がある。

関連書籍

  • 教育は遺伝に勝てるか?
    著者
    安藤 寿康
    出版社名
    朝日新聞出版
    発行年月
    2024年7月
    結局「生まれが9割」は否定できない。 でも、遺伝の仕組みを深く理解すれば、「悲観はバカバカしい」と気づくことができる。 遺伝が学力に強く影響することは、もはや周知の事実だが、誤解も多いからだ。 本書は遺伝学の最新知見を平易に紹介し、理想論でも奇麗事でもない「その人にとっての成功」(=自分で稼げる能力を見つけ伸ばす)はいかにして可能かを詳説。 「もって生まれたもの」を最大限活かすための、教育の可能性を探る。 はじめに ふたごが教えてくれること/「遺伝によって決まる」の誤解/なぜ子育て本通りに育つ子がいるのか 第1章 遺伝は遺伝せず――基本はメンデルにあり  『エデンの東』に見る遺伝/遺伝は遺伝せず/すべてはメンデルの法則にあり/「隔世遺伝」はこうして起きる/形質の組み合わせはランダムに遺伝する/実は特殊だったメンデルの法則/正体はポリジーンのランダムな伝達/プロフィールのランダムネス 第2章 あらゆる能力は遺伝的である ある一卵性双生児の軌跡/事例1 《写真に目覚めたふたご》(1994年生まれ、聞き取り時27 歳、男性)/体が思うように動かない、自分が出せない/留学先での衝撃的な出会い/別々に育てられたふたごの類似性/運命と遺伝の考え方/一卵性と二卵性を比べる/パーソナリティは親の育て方と関係ない?/ポリジェニックスコアから将来の学歴がわかる 第3章 親にできることは何か――家庭環境の効き方  親が子どもに与えられるもの/ヒトは教育する動物である/映画『万引き家族』で語られた「教育」/遺伝と環境を分けて考える/親の育て方が子どもの学力にどう影響するのか/「親の努力」の厳しい現実/収入や社会階層の影響への誤解/子どもをコントロールする親、子どもに振り回される親/子どもとの愛着関係は親しだい/物質依存の温床になる危険/遺伝と環境が逆転する〝15歳〞 第4章  教育環境を選ぶ――学校の内と外  歳を重ねると強くなる遺伝の影響/個人の経験が脳に与える影響/進化的に見た教育/すばらしき学校生活/事例2 《高校野球に生きるRさんとDさん》(1976年生まれ、聞き取り時46歳、男性)/野球との出会い/甲子園への憧れ/中学時代の監督の存在/挫折を経て体育教師を天職に/あまりにも似た足跡/事例3 《SEで活躍するHさんとTさん》(1981年生まれ、聞き取り時41歳、男性)/乳幼児期の記憶と他者とのかかわり/5歳で見つけた退屈の紛らわし方/祖母がくれた本からファンタジーの世界へ/理科教師の母親とサイエンスへの関心/共通点は学校での刺激と将来とのつながり/事例4 《建築家となったSさんとYさん》(1990年生まれ、聞き取り時32歳、男性)/絵を描くのが好きだった/自作ゲームにはまった小学校時代/建築の道へ/事例5 《踊りに導かれるAkさんとYkさん》(1975年生まれ、聞き取り時47歳、女性)/守ってあげたくなる人柄/バレエ教室と音楽クラブ/内側から「はい上がってくる」感覚/志望校不合格で見失った目標/「踊りが下手な友達」というきっかけ/プレイヤーから指導者へ/身体感覚が選択を導く?/学校という環境が広げる可能性 第5章「自由な社会」は本当に自由か?  「自由な社会」が突きつける過酷さ/都会と田舎、どちらが自由?/「のんべえ」は都会の方が遺伝!? /女性に影響する、未婚か既婚か/まばたきと遺伝/民主的な社会と遺伝のばらつきの関係/しつけの文化比較/すばらしい新世界が生む格差 第6章 そもそも、子どもにとって親とは?  親に「こうあるべき」はない/親がもっとも努力すべきこと/親が期待するほど、子は親の影響は受けない/斉藤和義も歌っている「諦め」/「素質に合う」は実在しない/子どもの「好き」を大切に 

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