あるドクターが死期を悟りつつ、病床で筆をとった理由

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幻冬舎ルネッサンス新社
あるドクターが死期を悟りつつ、病床で筆をとった理由

のこすべきは事業や財産だけじゃない――。近年、企業オーナーや富裕層の間でひそかに流行している「本を出す」ということ。本連載では、毎回ひとつの事例をあげ、なぜ人々は本を出すのか、そして、本を出すことでどんなドラマが生まれるのかを探っていきます。

「誰も教えてくれなかった」と嘆く人をなくしたい

1人のドクターがこの世を去った。死期を悟りながら、1人でも多くの患者を救いたいと願い、最期まで筆をとってその想いを1冊の本にした。

 

日本乳癌学会名誉会長の小林俊三さん(享年75)は晩年、乳がんの種類によって進行速度が違うことに注目し、研究を進めてきた。1年間で乳がんによって亡くなる人は全国で1万4,000人以上と言われている。世間ではタレントの北斗晶さん、小林麻央さんが相次いで発症し、注目を集めた。

 

小林俊三さんは人生を捧げて研究してきたことを世の女性にわかりやすく伝え、「そんなこと知らなかった」「誰も教えてくれなかった」と後になって嘆くことがないようにしたいと強く願っていた。

 

 

 

 

当初の出版予定は2016年4月。しかし、2015年7月に癌と肺炎を併発して入院。死期を悟りながらも、病床で筆をとった。完成した書籍が届いたのは2015年11月20日。小林さんは病の体に鞭を打ち、自身の想いをしたためた手紙と一緒に全国の大学医学部に対して献本を行った。担当編集者には、人生の総仕上げの書籍ができたと満足そうに語っていた。それから5日後の夜、小林さんは静かに永遠の眠りについた。

 

 

小林さんが亡くなってから1ヶ月、多くの患者、ドクターから手紙が届いた。

 

「もっと早く先生の本に出会いたかった」

「先生のようなドクターになれるよう、日々精進していきたいと思います」……

 

小林さんの職務への取り組み、姿勢、考え方への賛辞が便箋いっぱいに書き綴られていた。

 

書籍を出版するということは、無形の価値を有形の価値として、後世に残すこと。

 

没後も小林さんの書籍は全国の書店で大型展開され、多くの乳癌専門医のバイブルとして活用されるようになり、今も乳がん医療を牽引している。

 

 

決して安くない出版費用を自ら負担してでも後世に残したかったもの……

 

それは人生の中で築き上げてきた“経験”というお金を積んでも手に入れることができない「財産」だった。

 

 

 小林俊三 著

『乳がんの処方箋 後悔しないためのリスクと対策』

 

 

乳がんには、イヌ型とネコ型があり、ネコ型の乳がんは進行も早く、危険度も高くなる。これは、イヌとネコの妊娠の仕組みが異なるためで、卵巣から出されるホルモンによる影響があることがわかっている。卵巣からのホルモンに影響を受けるホルモン依存型の乳がん、ホルモンに依存することなく発症する乳がん、この二つの乳がん発症のリスクへの対処法も異なる。

 

本書は、ホルモン依存型乳がんとホルモン非依存型乳がんの発症メカニズムをわかりやすく解説し、それぞれの乳がんに対する女性への啓蒙を図ることを目的としている。乳がんになってから、知らなかったと言わないために、女性の生理と乳がん発症のメカニズムを知ることで、リスクは大きく軽減できる。乳がんを知るための第一歩。乳がん治療の最高権威が徹底解説。