自転車と歩行者の接触事故は、日常のあらゆる場所で起こり得る身近なトラブルです。特に歩道を走る自転車との接触は、どちらに非があるのか揉めることも少なくありません。本記事では、歩道を自転車で走る高齢者と衝突し、15万円の医療費を請求された24歳女性の事例をもとに、山村法律事務所の代表弁護士・山村暢彦氏が自転車事故における賠償責任を解説します。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
自転車で歩道をふらふら走る高齢者と衝突…後日届いた15万円の医療費請求に「私が悪いんでしょうか」手取り19万円・24歳女性が抱いた理不尽【弁護士が解説】
「私が悪いんでしょうか」…理不尽な医療費請求に葛藤
歩行者優先のはずの歩道で起きた事故。「ふらふらと歩道を逆走してきた自転車側の不注意が根本的な原因である」と考えているタマコさんは、驚きと同時に理不尽さを感じたといいます。
「こっちだって怪我しているのに……。私が悪いんでしょうか」
どちらにしろ、手取り19万円の生活を送るなかで、今すぐに15万円を支払うことはできません。タマコさんは現在、男性側からの請求に素直に応じるべきか、支払いを拒否すべきか悩んでいます。
このように、歩道を走行している、ましては逆走してきた自転車と歩行者が衝突した場合、法的にはどちらに過失があるとみなされるのでしょうか。
また、タマコさんのように「歩行者側が危険を察知して避けようとした結果、接触してしまった」という状況において、医療費の賠償責任はどのように判断されるのが一般的なのでしょうか。
【弁護士が解説】歩行者と自転車の事故…過失割合と賠償責任はどう決まる?
自転車と歩行者の事故だからといって、歩行者が相手の治療費を当然に全額負担するわけではありません。双方にどの程度の不注意があったのかという「過失割合」を踏まえて、賠償責任を考えることになります。
本件では、タマコさんが危険を感じて立ち止まり、避けようとしていたという事情からすれば、少なくともタマコさん側だけにすべての過失があるとは考えにくいでしょう。
もっとも、実際の自転車事故では、事故状況について双方の言い分が食い違い、過失割合を明確に決められないことも少なくありません。警察も事故の捜査や記録は行いますが、民事上の賠償額や過失割合を決めてくれるわけではありません。
また、自動車事故のように保険会社が当然に交渉を代行してくれるとは限らず、請求額が比較的小さいため、費用や手間との兼ね合いから曖昧なまま終わってしまうケースもあります。そのため、このような請求を受けた場合には、事故状況や相手の請求内容を整理したうえで、弁護士に相談して対応方針を決めるのがよいでしょう。
本件であれば、相手の治療内容や請求額にもよりますが、全額をそのまま支払うのではなく、早期かつ円満な解決も考慮して、一部の賠償に応じるという方針を検討する可能性が高いと考えます。
山村 暢彦
弁護士法人山村法律事務所
代表弁護士
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