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夫を亡くしたあと、頼りにしていた遺族年金
「夫の年金が月16万円だったので、私にも遺族年金が出ると思っていました。ところが、年金事務所で聞いた金額は、想像していたものとはまったく違ったんです」
そう話すのは、72歳の高橋恵子さん(仮名)です。恵子さんは、1年半前に夫を亡くしました。夫は71歳。定年まで製造業の会社に勤め、退職後は再雇用で数年間働いていたそうです。
夫が受け取っていた公的年金は月16万円ほど。恵子さん自身も、長年、事務職として働いてきました。現在の年金収入は月14万円ほどです。
夫婦で暮らしていたころは、年金収入を合わせて月30万円ほど。住宅ローンはすでに完済しており、食費や光熱費、医療費などを支払っても、毎月少しずつ貯蓄できていました。
ところが、夫が亡くなると、家計の状況は変わります。夫の年金は本人の死亡によって支給されなくなり、恵子さんは一人で生活費を賄わなければならなくなったのです。
「食費は減りましたが、家の維持費や固定資産税、医療費などは、夫がいたころと同じようには減りません。これから先、家電の買い替えや自宅の修繕も必要になるでしょう」
預貯金はあるものの、老後の生活が何年続くかは分かりません。できるだけ貯蓄を取り崩さずに暮らしたい――そこで頼りになるのが遺族年金です。
遺族年金については、従妹が詳しく知っていました。従妹は、さかのぼること3年前に恵子さんと同じように夫を亡くし、遺族年金を受け取っていたのです。そんな従妹と交わした会話。
「私の年金だけじゃ足りないから、遺族年金も受け取っている。合わせて何とか暮らしているわ」
従妹は月7万円の遺族年金を受け取っていました。自身の年金は月8万円ほど。合わせて15万円ほどになり、なんとか年金で生活費を賄っているといいます。
従妹とは年齢が近く、生活水準も大きく違わないと感じていた恵子さん。そのため、自分も同じくらいの遺族年金が受け取れるものと考えていました。
「月7万円あれば、年間で84万円です。自分の年金に上乗せできるなら、貯金を取り崩す額も減らせると思いました」
そう考えた恵子さんは、遺族年金について詳しく確認するため、年金事務所へ足を運ぶことにします。窓口では、夫の年金額や自分自身の年金額、これまでの加入歴などについて確認が行われました。そして、担当者から告げられたのは、思いもよらない内容だったのです。
「概算になりますが、月5,000円ほどです」
想定を大幅に下回る金額に「うそでしょ……」と言葉を発したあと、何も言葉が出てこなかったといいます。