夫婦の金融資産は約4,500万円。「預貯金も年金も分ければ何とかなる」と考えていましたが、一つずつ数字を確かめていくと、思い描いていた“半分”とは違う姿が見えてきました。本記事では、突然離婚を切り出された65歳女性の事例をもとに、熟年離婚後の一人暮らしの現実と、複雑な「財産分与」のルールについて、FPの三原由紀氏が解説します。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
(※写真はイメージです/PIXTA)
「4,500万円の半分が、どうして1,000万円になるの…」夫から離婚を切り出された65歳妻が、分割後の資産と年金額に絶句…確認不足だった〈3つの情報〉【FPの助言】
「4,500万円の半分」ではなかった…夫が相続した2,500万円
真理子さんの最初の誤算は、金融資産の中身でした。夫婦二人の金融資産約4,500万円のうち、2,500万円は浩一さんが母親から相続したものだったのです。
離婚の際に夫婦の財産を分ける「財産分与」では、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産が対象となります。一方、結婚前から所有していた財産や、結婚後でも親からの相続や贈与で得た財産は「特有財産」と呼ばれ、原則として財産分与の対象にはなりません。※1
そのため、財産分与の対象となるのは、浩一さんの相続財産2,500万円を除いた約2,000万円ほどです。長年一つの財布で家計を管理してきた真理子さんは、夫が相続したお金も「うちのお金」と考えていました。
「お義母さんの通院にも、何年も付き添ってきたのに……」
「4,500万円の半分」と考えていた真理子さんにとって、これは思いがけない結果でした。しかし、同じ理屈は真理子さん自身にも適用されます。現在二人が暮らす家は、真理子さんが親から相続したもので、こちらも原則として真理子さんの特有財産となります。
夫の親から受け継いだものは夫のもの、自分の親から受け継いだものは自分のもの。気持ちのうえで割り切れたわけではありませんが、「夫婦で築いた財産」と「親から受け継いだ財産」は別物なのだと、真理子さんは初めて実感しました。
話し合いの結果、真理子さんは自宅に残り、夫婦で築いた約2,000万円は、1,000万円ずつ分けることになりました。浩一さんは、母親から相続した山梨県の実家に戻るつもりだといいます。
なお、この家は、以前浩一さんの退職金を使い大規模なリフォームをしています。こうした場合は財産分与で考慮されることもあり、扱いは個別の事情によって変わります。※2