身内が亡くなったとき、葬儀の規模や費用について判断を迫られる遺族は少なくありません。近親者だけで見送る家族葬は、費用を抑えやすい一方、先祖代々のお墓がある場合には、葬儀の進め方について確認しておきたいこともあります。ある女性の事例から、家族葬の場合に下記認しておきたいポイントを整理します。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「冗談じゃない!」〈年金月14万円・82歳母〉家族葬を終えた55歳長女、納骨を前に住職から告げられたこと ※写真はイメージです/PIXTA

葬儀社にすべて任せた長女、納骨を前に住職から確認されたこと

「家族だけで見送れれば十分だと思っていました。費用もできるだけ抑えたかったんです」

 

そう話すのは、母親を亡くした佐藤陽子さん(55歳・仮名)です。

 

母親は82歳。父親が亡くなってからは、地方の持ち家で一人暮らしをしていました。年金収入は月14万円ほど。陽子さんは夫と大学進学を控えた娘と暮らしており、実家の母親を気にかけながらも、頻繁に帰省することはできませんでした。

 

母親が亡くなったのは、入院先の病院でした。突然の知らせを受け、陽子さんは急いで葬儀社を探しました。

 

葬儀社からは、基本的な葬儀プランに加え、僧侶を手配するサービスについても説明を受けました。親族の人数が少ないこともあり、陽子さんは簡素な葬儀を選択。紹介された僧侶に読経を依頼し、母親を見送りました。

 

葬儀は滞りなく終わりました。ところが、実家には先祖代々のお墓があります。墓地が寺院の境内にあることは知っていましたが、葬儀の前に寺院へ連絡する必要があるとは考えていませんでした。

 

「お墓があるお寺には、納骨のときに連絡すればいいと思っていました。葬儀の前に相談する必要があるとは考えていなかったんです」

 

葬儀を終え、親族と納骨の日程を相談した陽子さん。寺院に連絡すると、住職から、葬儀をどの寺院の僧侶が執り行ったのか、戒名は誰が授けたのかと尋ねられました。

 

事情を説明したところ、住職からは、今回の葬儀について確認したいことがあるため、すぐには納骨の手続きを進められないと伝えられました。

 

陽子さんは戸惑います。葬儀はすでに終わり、親族にも納骨の日程について相談し始めていたからです。

 

「葬儀社にお願いして、きちんとお経もあげてもらいました。それなのに、なぜ納骨の話が進まないのか、冗談じゃない……最初は理解できませんでした」

 

寺院側との話し合いでは、墓地の使用条件や葬儀の経緯を確認する必要があることがわかりました。陽子さんは葬儀社にも連絡し、当日の手配内容や僧侶の所属について確認することにしました。

 

墓地への納骨については、法律上の規定もあります。『墓地、埋葬等に関する法律』第13条では、墓地などの管理者は、埋葬や焼骨の埋蔵を求められたとき、正当な理由がなければ拒んではならないと定められています。

 

そのため、菩提寺とは別の僧侶に葬儀を依頼したという理由だけで、必ず納骨を拒否されるわけではありません。ただし、墓地の使用条件や契約内容、寺院との関係などによって、事前の確認や話し合いが必要になる場合があります。