長年働き、税金や社会保険料を納め、老後に備えてきた人にとって、年金生活は現役時代の積み重ねが表れる時期でもあります。しかし、物価や医療費、住宅の維持費が上がるなか、年金だけで余裕のある暮らしを続けるのは簡単ではありません。働いていたころに思い描いていた老後と、実際の生活との間には、どのような差が生まれているのでしょうか。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「こんなの国民をバカにしてますよ!」 年金月14万円・72歳男性、40年以上働いてきたのに老後も「節約続き」のワケ ※写真はイメージです/PIXTA

年金収入だけでは難しい、単身高齢者の家計

山田さんのように、年金を中心に一人で暮らす場合、家賃は毎月発生する固定費です。収入を補うために働こうとしても、健康状態や年齢、採用条件によって希望どおりの仕事が見つかるとは限りません。

 

総務省『家計調査 家計収支編』によると、2025年の65歳以上の単身無職世帯は、月平均の可処分所得が11万8,465円だったのに対し、消費支出は14万8,445円でした。差額は約3万円です。これは平均値であり、個々の家賃や医療費によって状況は異なりますが、年金を中心とする単身高齢者の家計が厳しいことがわかります。

 

「無理をして働いて膝を悪化させたら、治療費もかかります。かといって、収入を増やさなければ貯金が減っていく。どうすればいいのか、悩みます」

 

山田さんは今後も、体調を見ながら働ける機会を探すつもりです。ただ、就労だけで不安を解消できるとは考えていません。

 

高齢期の生活には、年金額だけでなく、住居費や医療費、働き続けられるかどうかも関係します。老後の家計を本人の節約努力だけに委ねず、物価上昇や住居費の負担、健康上の理由で就労が難しい人の実情にも目を向ける必要があります。