定年後は、自分の時間を楽しみたいと考える人もいるでしょう。一方、子どもの育児を支えるため、孫の世話を日常的に担う高齢者もいます。孫の成長を間近で見られることは喜びになる反面、長時間の世話が続けば、自分の生活に影響することもあります。孫育ては生きがいになるのか、それとも負担になるのか。家族を支える高齢者が直面する課題を考えます。
「毎日9時から18時まで孫の世話です」年金月18万円・67歳男性、定年後に始まった想定外の生活 ※写真はイメージです/PIXTA

定年後、平日の9時から18時まで孫を預かる生活に

田中修さん(仮名・67歳)。会社員として長年働き、定年退職後の現在は、公的年金を月18万円ほど受け取りながら妻と2人暮らしをしています。

 

現役時代は長く単身赴任をしており、子育てに十分参加できなかったことが心残りだったといいます。そんな修さんの生活が変わったのは、娘が子どもたちを保育園に預け始めたころでした。

 

「保育園に通い始めたものの、子どもたちが泣いてばかりで、なかなか慣れなかったそうです。ようやく落ち着いてきたと思ったら、今度は体調を崩してばかりで、登園できない日々が続きました」

 

仕事を持つ娘にとって、子どもの体調不良は悩みの種です。仕事を休むのも簡単ではありません。そこで修さんは、「それなら、うちで見てあげるよ」と申し出ました。

 

当初は困ったときだけのつもりでしたが、いつしか平日はほぼ毎日、孫を預かるようになりました。

 

朝9時前に、娘が孫を連れてやってきます。玄関先でバトンタッチすると、まずは遊びの時間です。10時におやつ、12時にお昼ご飯、そのあとお昼寝を挟んで、15時におやつ。そのあとはまた遊びの時間です。18時ごろ、仕事を終えた娘が迎えにやってきて、1日が終了します。

 

「大変です。毎日、毎日てんてこ舞い。腰も痛いです」と笑う修さん。その笑顔の理由は、現役時代、単身赴任が長く、子育てにまったく参加できなかった分、今その時間を取り戻しているように感じるからだそうです。

 

また、孫という点も、楽しめているポイントだといいます。

 

「孫には親である娘たちがいますから、ある意味、無責任でいい。もちろん安全には気をつけますが、肩の力を抜いて接することができるんです」

 

娘も、日頃の協力に感謝しているとのことです。

 

「仕事に集中できるのはお父さん、お母さんのおかげと、事あるごとに言ってくれる。娘のためにできることがまだあるんだと思うと、うれしくなりますよね」