厚生労働省「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」では、パートを選んだ理由として「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」が多く挙げられています。敷地内同居をする46歳女性も、時間に融通が利くことを理由に、義両親や義妹一家の送迎を任されるように。出費や減収まで重なり、ついに「敷地内同居解消」を切り出しました。
もう来ないでください!〈世帯年収900万円〉義妹一家の「お世話」でパート代まで減少…46歳妻が義妹を拒否。さらに夫に「敷地内同居解消」を切り出したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

ガソリン代だけでなく、パート代まで減っていく

車を出せば、当然お金もかかります。ガソリン代、駐車場代、場合によっては有料道路代。途中で子どもたちの飲み物や軽食をまとめて支払うこともありました。

 

1回の帰省で数千円。遠出が重なれば、1万円近く持ち出すこともあったそうです。さらに家計に響いていたのは、実費だけではありません。

 

義妹一家が数日滞在すると、アキコさんは買い物や送迎、外出への付き添いで疲れ切ってしまい、休み明けにパートへ行けないこともありました。

 

アキコさんは時給制です。休めば、その日の収入はなくなります。もともとパート代は、日々の生活費に加え、娘の教育費や家族の貯蓄にも回すつもりでいました。

 

「完全に皮算用ではあるんですけど、『今月はこれくらい残せるかな』って考えるじゃないですか。それが義妹たちが来ると、ガソリン代や駐車場代がかかって、翌日のパートまで休んで、じわじわ減っていく感じなんです」

 

一度の金額は大きくなくても、それが年に何度も続けば無視できません。アキコさんは次第に、「義妹一家が遊びに来るたびに、なぜこちらの家計まで負担することになるのだろう」と感じるようになりました。

 

さらに、子どもたちが乗ったあとの車には、お菓子のくずや空のペットボトルが残っていることも。以前はあった「ありがとう」という言葉も、いつしかほとんど聞かれなくなっていったといいます。

「ちょっと送って」でも、運転する側には責任がある

アキコさんには、もう一つ大きな負担がありました。

 

運転そのものです。免許は持っていますが、普段の運転は近所への買い物程度。大人数を乗せ、慣れない道や混雑する大型商業施設まで出かけることには緊張します。とくに気になったのが、子どもたちを乗せる責任でした。

 

「もし事故を起こしたらどうしようというのは、いつも頭にありました。周りには『ちょっと連れていって』でも、私にはそんなに軽いことじゃなかったんです」

 

義妹に「車を貸すから」と言ったこともありましたが、「保険に入らないといけないし、そもそも私はペーパードライバーなので」とあっさり断られました。

 

そんななか、ある帰省を前に、義妹から子どもたちを少し離れた大型商業施設へ連れていってほしいと頼まれました。帰りには買い物にも付き合ってほしいといいます。

 

アキコさんは夫に、今回は断りたいと伝えました。しかし夫は、妹一家が帰省しているときくらい付き合ってあげればいい、ガソリン代や駐車場代も家計から出せばいいと言います。

 

さらに、「俺は仕事で忙しいんだから。お前はパートで時間あるだろ」と言われました。

 

その一言が決定打になりました。普段から義両親の用事を引き受け、義妹一家が来れば自分の時間と車を使う。費用も負担し、疲れてパートを休めば収入まで減る。それでも夫には、「パートだから時間がある」としか見えていなかったのです。

 

アキコさんは独断で義妹に「無理です!」と断り、夫にも「もう妹さんたちの面倒を見るのは限界。これが続くなら敷地内同居を解消したい」と伝えました。

「時間に融通が利く」と「暇」は同じではない

厚生労働省「令和7年版 労働経済の分析」によると、2024年に「家事・育児・介護等と両立しやすいから」という理由で非正規雇用を選んでいる人は227万人。そのうち女性は218万人でした。また、厚生労働省「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」では、パートタイム労働者が現在の就業形態を選んだ理由として、「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」が多く挙げられています。

 

時間に融通の利く働き方を選ぶことと、その時間を家族が自由に使っていいことは同じではありません。

 

アキコさん自身、娘が幼かったころに義両親から助けてもらったことには、今も感謝しています。ただ、義両親への恩返しと、義妹一家のレジャーや送迎まで当然のように担うことは別の話です。

 

さらに、送迎にはガソリン代や駐車場代といった目に見える支出だけでなく、仕事を休めば失う収入、移動に使う時間、運転への緊張といった負担もあります。

 

現在、アキコさん夫妻は、敷地内同居を本当に解消するのか話し合っているといいます。一つひとつは小さな頼み事で、出費も数千円かもしれません。しかし、それを引き受ける人が固定されれば、時間だけでなく収入や家計にも負担が積み重なります。

 

「昔助けてもらったから」「パートだから時間があるから」。

 

そうした理由が、いつの間にか誰か一人に役割を押しつける根拠になっていないか。家族だからこそ、頼る側と引き受ける側の境界線を確認する必要があるのかもしれません。

 

 

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