会社を退職したあと、自宅での立ち位置に戸惑うシニア男性たち。仕事という役割を失ったことで生じる居づらさをどう乗り越えればよいのでしょうか。事例をご紹介します。※事例の登場人物はすべて仮名です。
「今日も、地元の友達とぐだぐだ飲んでたら1日が終わっちゃいました」年金月22万円・退職金1,800万円の元会社員67歳夫、定年後、家に居場所なく…。リビングのソファーに鎮座する“鬼”の恐怖 (※写真はイメージです/PIXTA)

居場所がない定年夫たち

内閣府『令和6年版高齢社会白書』によると、60歳以上の高齢者が地域社会において「親しい友人がいる」と答えた割合は全体で高く維持されているものの、男性は女性と比較して地域コミュニティや日常的な会話の機会が少なくなりがちな傾向が指摘されています。特に長年「会社中心」の生活を送ってきた男性の場合、退職後に家庭へ戻った際、すでに完成している家庭内のルールや人間関係に馴染めず、孤立感を深めるケースも。

 

また、居場所を求めて外食や居酒屋通いを習慣化することには、金銭的なリスクも伴います。総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦無職世帯における月平均の可処分所得(手取り収入)は約21.5万円であるのに対し、日常の消費支出は月平均約25.5万円となっており、月約4万円の赤字が発生する構造となっています。マサキチさんの世帯のように、夫婦合わせた年金収入が月22万円程度の場合、日常の基本的な生活費を賄うだけで手取り分はほぼ相殺されます。

 

1,800万円の退職金という蓄えがあるとはいえ、月数万円単位で個人的な飲食費として取り崩し続ければ、将来の医療費・介護費や住宅の修繕費用といった将来のリスクに備えるための資金を早期に侵食する恐れがあるでしょう。

 

定年後の健全な生活設計と居場所づくりにおいては、飲食店での長居に依存するのではなく、図書館や地域の公的施設、シニア向けのスポーツクラブ、趣味のサークル活動やボランティアなど、低コストで継続的に滞在できる「第三の場所」を複数持つことが効果的です。さらに、妻にいわれて行う「お手伝い」ではなく、ゴミ出し、庭の手入れ、特定の料理や買い出しなど、自身が責任を持って引き受ける明確な家事の役割分担をつくることで、家庭内での居心地や発言権のバランスが改善するかもしれません。

 

家庭内での無理のない距離感を模索しつつ、地域社会や趣味を通じた持続可能な居場所を見つけることが、定年後の長い第二の人生を豊かに過ごすための重要なステップとなります。

 

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