国土交通省の『二地域居住に関するアンケート』によると、別荘やセカンドハウスの所有を「やめたい」と回答した理由のトップは「金銭的な負担が大きい(37.2%)」となっています。バブル期に飛ぶように売れたリゾートマンションも、今では「負動産」と化しているケースは少なくありません。苗場のリゾートマンション購入から37年が経過し、現在は利用しなくなったにもかかわらず手放せない76歳男性の事例を通じて、老後の年金生活を圧迫する維持費の恐ろしさを見ていきましょう。
76歳元エリートが3,500万円で買った苗場のリゾートマンションの〈成れの果て〉…バブル絶頂期から37年、最高の買い物のはずが「1円でも売れません」の現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

37年前、バブル絶頂期に3,500万円で購入…元エリート商社マンの「最高の買い物」

「まさか、こんなことになるなんて……」

 

新潟県・苗場エリアにあるリゾートマンションを37年前に購入したタケシさん(仮名・76歳)。老後になった今も、毎月5万円の維持費を払い続けています。

 

タケシさんは現役時代、都内の大手商社で営業部長を務めていました。当時の年収は1,600万円を超え、都内の自宅の住宅ローン返済も順調に進み、まさに順風満帆な会社員生活を送っていました。

 

そんなタケシさんがバブル絶頂期の1989年に手に入れたのが、スキー場から徒歩数分の苗場のリゾートマンションです。館内には温泉大浴場や本格的なレストランを備え、当時は多くの人が憧れた豪華な物件でした。

 

当時タケシさんは、家族でゆったり過ごせる50平米の1LDKを3,500万円で一括購入。現役引退後は苗場を拠点にするつもりで、夫婦にとって「最高の買い物をした」と信じて疑わなかったといいます。

年金月22万円を圧迫する「月5万円」の維持費

管理費や修繕積立金、固定資産税などを合わせると、維持費は月々約5万円。現役時代のタケシさんにとっては気にも留めない金額でした。

 

しかし、年金生活に入った現在、その状況は一変しました。現在のタケシさんの年金受給額は月額約16万円、妻の年金を合わせても月に約22万円です。維持費を差し引いたお金から生活費や医療費を支払うと、家計に余裕はありませんでした。

 

さらに建物の老朽化も進み、かつての華やかな姿は今や見る影もありません。立体駐車場は故障したまま放置され、共用部には異臭が漂っています。周辺の店舗も次々と閉店し、車で遠くまで買い出しに行かなければならない不便な環境になってしまいました。

 

国土交通省の『二地域居住に関するアンケート』によると、別荘やセカンドハウスなど主な拠点以外の住まいを持つ二地域居住者のうち、利用や所有を「継続したくない・やめたい」と回答した主な理由として「金銭的な負担が大きい」が37.2%と最も高く、次いで「体力的な負担が大きい(28.1%)」が続いています。

 

現役時代には気にならなかった管理・維持費が、定年後の年金生活においては重い負担となることが読み取れます。