(※写真はイメージです/PIXTA)

カルティエの「トリニティ」に代表される、ピンク、ホワイト、イエローといった多彩な色のカラーゴールド。「18金(K18)」に含まれる金の割合は75%ですが、同じ18金でも、金以外の25%になにを混ぜるかによって、色も硬さも大きく変わります。では、いざ買取店に持ち込んだとき、「ピンクゴールド」と「イエローゴールド」で買取価格に差は生じるのでしょうか? 今回は、カラーゴールドについて、ジュエリーとしての魅力と資産としての価値の意外な関係を、売却時の注意点とともに解説します。※本連載は、株式会社ゴールドリンク『ゴールドコラム』から転載したものです。

同じ18金なのに色が違う理由…「カラーゴールド」が生まれる仕組みと強度の秘密

「金」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、鮮やかな黄金色ではないでしょうか。

 

ところが、ジュエリーショップに並ぶ金製品を見てみると、黄金色だけではありません。淡いピンク色の「ピンクゴールド」、銀白色の「ホワイトゴールド」、さらに青みや緑みを帯びたものまで、さまざまな色があります。

 

同じ金でありながら色が異なる理由は、金に混ぜ合わせる別の金属である「割金(わりがね)」の存在にあります。純金、いわゆる「24金(K24)」は非常に柔らかく、傷や変形が生じやすい金属です。そのため、指輪やネックレスなど日常的に身につけるジュエリーでは、別の金属を混ぜて強度や加工性を高めることがあります。たとえば18金は、全体の75%が金で残る25%が銀や銅、パラジウムなどの金属が使われます。

 

世界的な金市場団体World Gold Councilによれば、18金は金75%とその他の金属25%からなります。代表的なイエローゴールドでは銀や銅などを配合し、銅を加えることでピンク色を帯びたローズゴールドに。また、パラジウムや銀など白色系の金属と合金にすることで、ホワイトゴールドが作られます(※1)。グリーンゴールドは、金に銀を混ぜることで、やや緑がかった色合いを持たせた合金です。日本では「青金」とも呼ばれます。

 

つまり、色付きゴールドは金の表面に単純に「色を塗った」ものではありません。金そのものに別の金属を混ぜ、合金として色や硬さ、質感を設計しているのです。

 

実際、カルティエの「トリニティ」も、ホワイトゴールド、ローズゴールド、イエローゴールドという3種類の18金を組み合わせています。色は違っても、それぞれに含まれる金の割合は同じ75%です。

混ぜた金属によって、買取価格に差はつく?

ここで気になるのが、資産価値です。ホワイトゴールドには高価な貴金属であるパラジウムが使われることがあります。一方、ピンクゴールドではパラジウムよりも安価な銅が多く使われます。

 

それなら、「パラジウムを含むホワイトゴールドのほうが、ピンクゴールドより高く売れるのでは?」と思うかもしれません。

 

しかし、ジュエリーなどの一般的な金製品を「地金」として買い取る場合、必ずしも混ぜられた金属の価格差が反映されるとは限りません。

 

地金としての査定では、基本的に金の純度(品位)や重量が重要な基準になります。18金イエローゴールド、18金ピンクゴールド、18金ホワイトゴールドはいずれも金の含有率が75%であるため、同じ18金であれば、色が違っても地金としての査定額は基本的に同等とする買取事業者もあります。

 

たとえば大手地金取扱業者のリサイクルサービスでは、当日の「品種・品位別」のリサイクル価格に貴金属部分の重量を掛けて買取金額を算出しており、18金についても色別ではなく「18金」という一つの基準で1gあたりの価格が設定されています。

 

もちろん、割金に使われている銀やパラジウムにも金属としての価値があります。しかし、ジュエリーの買取価格が単純に「金75%+パラジウム○%+銀○%……」と、それぞれの市場価格を足し合わせて決まるとは限りません。つまり、「高価な割金が使われている=必ず高く売れる」とは考えないほうがよいでしょう。

 

なお、刻印が不鮮明だったり、海外製品などで品位がわかりにくかったりする場合には、分析機器などを使って実際の金属組成を調べたうえで査定されることもあります。見た目の色だけで、地金としての価値を判断することはできないのです。

 

ブランドジュエリーは「金の重さ」以上の価値がつくことも

ただし、ここまでの話はジュエリーを「地金」として評価する場合です。

 

カルティエやブルガリなど、著名ブランドのジュエリーでは、金そのものの価値だけでなく、ブランドやモデルなども評価対象になることがあります。

 

たとえば、1744年にロンドンで創業した世界最古の国際競売オークション会社「サザビーズ」は、ジュエリーの評価にあたり、商品の状態、メーカー、来歴、類似品のオークション価格など、複数の要素を考慮するとしています。また、サザビーズと並ぶ世界2大老舗オークション会社「クリスティーズ」も、カルティエなど著名なメゾンの署名や、作品の年代、希少性、オリジナルの状態などが価値に影響すると説明しています。

 

つまり、ブランドジュエリーの場合、「18金が何グラム含まれているか」という地金としての価値とは別に、ジュエリーそのものの市場価値が存在する場合があるのです。

 

たとえばカルティエの「トリニティ」は、ルイ・カルティエが1924年に考案した、3本のリングを組み合わせたデザインを起源とします。現在もホワイトゴールド、イエローゴールド、ローズゴールドを使ったさまざまなモデルが展開されています。トリニティのように、歴史と人気を兼ね備えたジュエリーには、含有される金の価値を超えた市場価値が存在します。

 

ブランドジュエリーを売却する際は、地金としての査定だけでなく、ブランドやモデルを含めて評価できる事業者にも査定を依頼し、買取価格を比較するのも一つの方法でしょう。

メッキの剥がれやアレルギーは大丈夫?「使うときの注意点」と「手放すときの評価軸」

カラーゴールドには、もう一つ知っておきたい特徴があります。それが「身につける金属」としての性質です。

 

たとえばホワイトゴールドは、金にパラジウムや銀などの白色金属を混ぜて作られますが、より白く美しい光沢を出すため、表面にロジウムメッキを施す製品もあります。長く使っているとメッキが摩耗し、内側の地金の色が見えてくることも。しかし、表面の色が変化したからといって、それだけで内部の金が減るわけではありません。ロジウムメッキはあくまで表面処理であり、地金そのものとは別のものです。

 

また、割金は金属アレルギーとも関係します。

 

日本ジュエリー協会によると、ホワイトゴールドには、硬さやばね性、色調などを得るため、割金としてニッケルを使用した素材もあります。ニッケルは、金属アレルギー性接触皮膚炎の原因となり得る金属の一つです(※2)。

 

ただし、同じ「ホワイトゴールド」という名称でも組成は製品によって異なります。パラジウム系の合金もあれば、ニッケルを含むものもあるため、色だけでアレルギーの起こりやすさを判断することはできません。ピンクゴールドについても、銅を加えることで赤みのある色合いが生まれますが、具体的な配合比率は製品によって異なります。

 

このように、カラーゴールドの「色」は、単なる見た目の違いに留まりません。どの金属を組み合わせるかによって、色合いだけでなく、硬さや加工性、肌に触れたときの性質にも違いが生まれます。

 

カラーゴールドを所有するときは、見た目の美しさだけでなく、どのような金属が使われているのかにも目を向けておくとよいでしょう。身につけるときの性質と、手放すときの評価軸は、必ずしも一致しないという視点を持つことが、納得のいくジュエリー選びと資産管理につながります。

 

もらい物や古いゴールドジュエリーで、「何金かわからない」「メッキが剥がれていて売れるか不安」という場合でも、自身で判断せず、まずは専用の分析機器を持つ買取専門店に持ち込んでみることをお勧めします。

 

〈出典〉

※1 World Gold Council「Is Gold Jewellery A Good Investment?」

https://www.gold.org/about-gold/about-gold-jewellery

 

※2 「日本ジュエリー協会」金属アレルギーについて

https://jja.ne.jp/howtobuy/howtobuy_inner06/

※本連載は、株式会社ゴールドリンク『ゴールドコラム』から転載したものです。