(※写真はイメージです/PIXTA)
小学6年生では塾などの負担も大きく
子どもが成長するにつれて、学校外でかかる教育費も増えていきます。
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査(2026年1月16日訂正版)」によると、公立小学校6年生の「学校外活動費」は年間平均で26万4,573円。そのうち、学習塾や通信教育などを含む「補助学習費」は年間18万6,559円となっています。ただし、この数値には「塾に通っていない家庭(支出0円)」もすべて含まれています。そのため、実際に中学受験をする家庭の負担は、この平均値をはるかに上回るのが現実です。
中学受験をする場合には、通常の塾代に加えて、夏期講習や冬期講習、模試、志望校別講座などが必要になるケースもあります。
娘夫婦も共働きとはいえ、今後は2人の子どもの高校、大学進学も控えています。
だからこそサトミさんも、「自分たちが出せるうちは力になりたい」と考えていました。しかし、20万円はサトミさん夫婦にとって決して小さな金額ではありません。
「上の子のときも、もちろん20万円は大きかったですよ。でも本人が頑張っていたから、出してあげたいと思ったんです」
今回も、孫の成績がよければ出す、悪ければ出さないという話ではありませんでした。
「本人が本当にやりたいことなら、多少無理をしてでも応援したい。でも、本人が乗り気じゃないように見えるのに、お金だけ出すというのは違う気がしました」
孫を思った言葉が「過干渉」に
その一件以来、娘からの連絡はほとんど途絶えてしまいました。以前は頻繁に送られてきていた孫たちの写真も届きません。
上の孫が学校生活を楽しんでいることは聞いています。しかし、小学6年生の下の孫がその後どのように受験勉強を続けているのか、夏期講習をどうしたのか、サトミさんにはわかりません。
「余計なことを言ったのかな、と思うことはあります」
そう話すサトミさんですが、今でも腑に落ちない部分もあります。
「私は受験をやめなさいと言ったわけでもないし、成績が悪いからお金を出さないと言ったわけでもありません。ただ、本人がつらそうなら、一度立ち止まって話を聞いてあげてもいいんじゃないかと思っただけなんです」
一方で、実際に子育てをしている娘からすれば、親から教育方針に口を出されたように感じたのでしょう。
さらに、上の子には20万円を出したのに、下の子には出さないという判断には、娘なりに「不公平だ」という思いがあったのかもしれません。
サトミさんがいま一番寂しく感じているのは、20万円を出さなかったことではありません。そのことをきっかけに、娘だけでなく孫との距離まで遠くなってしまったことです。
「上の子には出したのだから、下の子にも同じように出してあげればよかったのかな、とは考えます。でも、同じ20万円を出すことが、本当にあの子のためだったのか。それは今でもわかりません」
「同じ金額を出すこと」が平等とは限らない
祖父母から孫への教育費援助は、子育て世代にとって大きな助けになります。一方、援助する側にも生活があります。サトミさん夫婦のように一定の金融資産があったとしても、70代になれば今後の医療費や介護費への備えは欠かせません。
「資産があるのだから出して当然」という話ではないでしょう。
さらに難しいのは、教育費には「お金」だけでなく、「どんな教育を受けさせるのか」という価値観まで絡むことです。
親には子育ての方針を決める権利があります。一方、祖父母にも、自分たちのお金を何に使うかを決める権利があります。
その両方がぶつかったとき、善意の援助が親子の対立を生むことがあります。
また、兄弟姉妹に対して「まったく同じ金額を出すこと」と「公平に支援すること」は必ずしも同じではありません。
子どもの希望や進路、必要になる支援はそれぞれ違うからです。
だからこそ祖父母から教育費を援助する場合には、単に「いくら出すか」だけでなく、「どんな場合に援助するのか」「援助する側は教育についてどこまで意見を伝えるのか」まで、親子で話しておくことが大切なのかもしれません。
孫を思う気持ちは同じでも、「何がその子のためなのか」という答えまで同じとは限りません。
老後の20万円を差し出すからこそ、その使い道について思うところがある――。そんな祖父母の気持ちも、また無視できないのです。
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