今後の展開予測…5つのパターンに分けられる「全世界株式」の動き

今後の全世界株式がどのような軌道を描くか、5つのパターンを想定して整理します。

パターン1:米国の大手テック企業が再び市場をけん引する展開

S&P500を擁する米国株が、最も高い成長を示します。全世界株式は米国の構成比率が約6割を占めるため、米国株に引っ張られる形で上昇しますが、新興国株の低迷が足を引っ張る形になります。

パターン2:半導体やAI分野が再び急速な急上昇を見せる展開

半導体比率が28.23%にのぼる新興国株が、高いパフォーマンスを発揮します。全世界株式もその恩恵を受けて成長しますが、米国株は期待値の高さ(PER)や他業界の平均化の影響で新興国株ほどの伸びには達しません。

パターン3:資源や従来の製造業が主役に躍り出る想定外の展開

ブラジルやメキシコといった資源国や製造拠点を有する新興国株が、最も成長します。全世界株式も堅調に推移し、米国株は安定的な推移に留まります。

パターン4:半導体バブルが崩壊して急激な下落局面に陥る展開

業種の多様な米国株が最も安定して推移し、新興国株やそれに引っ張られる全世界株式は大きな下落を経験することになります。

パターン5:世界的な大恐慌や景気後退が突発的に発生する展開

すべての市場が下落します。下落の主因が何であるかによって、米国株が激しく下落するか、新興国株が激しく下落するか、それぞれの明暗が分かれます。

客観的なシナリオ分析を行うと、どのような前提を置いたとしても「全世界株式が単独で最も高いリターンを出す」というストーリーは描きにくいことがわかります。

しかし、全世界株式を選択する最大の価値は、次にどの市場が勝つかを予測して当てる必要が一切ない点にあります。世界全体へ投資を済ませておけば、どこが成長してもその恩恵を取りこぼすことなく確実に享受できるのです。

「全世界株式なら絶対に安全」ではない…地域分散の裏に潜むリスク

全世界株式が提供する安心感から、「これさえ持っていれば絶対に大丈夫」と過信することは避けなければなりません。リーマンショックの際には、全世界株式は最大で58%もの大幅な下落を記録しました。元本割れの可能性がまったくない安全な投資先であるという誤解を持つことは危険です。

また、自身で米国株や新興国株を組み合わせてオリジナルな全世界株式風のポートフォリオを作成しようとする際にも、注意点があります。典型的な失敗例は、米国の半導体指数であるSOXと、新興国株式インデックスを単純に組み合わせる方法です。

一見すると米国と新興国に地域が分散されているように見えますが、その中身は米国の半導体30社と、TSMCをはじめとする新興国の半導体大手3社(比率28.23%)という、半導体一極集中型の偏った投資先になってしまいます。

投資における分散の要諦は、単に国や地域を分けることだけではありません。業種ごとのパワーバランスが適切に分散されていることこそが、本当の意味でのリスクヘッジとして機能します。

表面的なリターンに惑わされない

米国や新興国といった個別の市場が持つそれぞれの強みを都合よく吸収しながら運用できる、最も無難で確実な資産形成の選択肢が全世界株式です。

直近の新興国株の急騰は、新興国全体の経済が目覚ましく成長した結果ではなく、特定の半導体企業への極端な集中や一時的な資源価格の上昇といった要因が重なり合って生じたものです。

投資先のパフォーマンスを比較する際は、表面的なリターンだけでなく、インデックスの内部における業界の比率や国別の実態を正しく見極める必要があります。一時的なブームや特定の業界の急騰に惑わされることなく、自身のリスク許容度に応じた冷静な投資判断を下すことが、長期的な資産形成において重要です。

鳥海 翔
株式会社Challenger 代表取締役
FP(ファイナンシャル・プランナー)/投資家

※本連載は、株式会社Challenger 代表FP(ファイナンシャル・プランナー)で投資家の鳥海翔氏のYouTube動画を再編集したものです。
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